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「電車やバス等の公共機関での移動は避け、なるべく自家用車でお願いします。もし眠ってしまった場合、1時間経って揺すって起きない場合は連絡して直ぐ病院に運んでください。21時までにはお戻り下さい、よろしくお願いしますね」
翌日、福良を連れて担当医に話を聞きに行った。
やはり最近睡魔が頻繁に襲うのだと言う。
この時運転免許を持っていて良かったと改めて思った。
『え？オフィスにお邪魔して良いんですか？』
「うん、1日だけ許可が出たんだ。
気分転換にオフィスに来ない？何処も連れて行けなくて申し訳ないんだけど、」
『嬉しいです、ありがとうございます。
皆さんがクイズしてるとこ見たかったんです』
本来、外出は日付に猶予があるが特別に明日という許可が出た。今日彼女は調子が良いらしく、睡魔は襲っていないらしい。
「伊沢が分かんない問題が出たらAちゃんが答えていいからね」
『本当ですか？こう見えて理系も得意なんですよ？』
「うっわ、めっちゃプレッシャーじゃん」
『楽しみです、2年振りに外に出ますから。明日はよろしくお願いしますね』
彼女は笑う、不安な陰は隠しきれていない。
福良も彼女の不安を見逃しては居なかった様だ。
「大丈夫、俺達はAちゃんを独りになんかしないよ。俺、伊沢拓司は嘘付かない人間だからね」
「伊沢、それ自分で言わないやつ」
「あ、そっか。でも絶対約束するよ」
言葉では何度でも言える、そんな事は知っている。
でもどうにか彼女を不安から脱してあげたくて必死だ。
こんな必死になった事なんて今まであっただろうか。
「じゃあ、明日9時に来るね」
『ありがとうございます、よろしくお願いします』
「じゃ、またねAちゃん」
そう言って手を振った。
彼女も小さく控えめに手を振り返した。
「あの子が何処まで俺達のクイズに着いて来れるか楽しみだね」
「理数強いは勘弁して欲しいな〜」
「もしもの話、撮影中にあの子の声入ったら伊沢はどう説明する？」
「あー、内緒で通す」
「うっわ、コメント欄荒れるやつ」
2人で雑談しながら歩く帰り道は少し楽しかった。
俺は心の何処かであの子をメンバーにするという気持ちが何処かにあるのかもしれない。
「とりあえず、明日の事皆に話さないとね」
「そうですね、話しますか」
明日、彼女をどう楽しませるか今から考えが止まらなかった。
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作者名：かおる | 作成日時：2021年9月19日 0時
