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「君が寂しく無いように、来れる日は来てもいいかな。あと君のことをメンバーにも知ってもらいたいから、連れて来てもいいかな」
3日間眠っていた彼女にこんな事をいっても、思考は回っていないだろうと思ったが、彼女は「皆さんが良ければ」と言った。
彼女は看護師から勝手に聞いた病気のことを責める事は無かった。
「って事で、許可もらったんで!」
「えー!俺行くー!」
「俺も授業無いんでいいですよ」
「何持って行く?休学中って事だし、参考書とか?」
そのはオフィスに居たのは、須貝、渡辺、福良。
3人は行く気満々で颯爽と準備していた。
福良だけは何故か参考書をパンパンに詰めていた。確かに彼女の病室には参考書などが何も無かった。
病院に着き、彼女の病室に早速足を運んだ。
「こんにちは」と扉を開けると彼女はベッドに座って何かを書いていたが、此方に気付いてその本を閉じた。
『こんにちは、来てくださったんですね』
「ああ、ちょっと煩いのがいるけど。一緒に仕事してるメンバーだよ』
「俺は須貝駿貴って言うの、Aちゃんも東大生なんだってね!」
「俺は福良拳、東大生じゃないけど伊沢達と楽しくやらせて貰ってるよ」
「渡辺航平って言います、こうちゃんでいいですよ。この人たちマジでパワハラだから気を付けてね、ってそれAちゃんに買って来たやつ!!」
須貝と俺は渡辺が彼女の為に買って来た有名なマカロンを一つ二つと摘み食いしていた所、渡辺に叱れたが、その様子に彼女はクスクスと笑っていた。
「あ、点滴取れたんだ」
『はい、普通にご飯食べれる様になりました。
あの私が眠っている間に机にいっぱい差し入れあったんですけど、皆さんが…?』
「うん、焼き菓子は須貝さん、ジュースはこうちゃんから、参考書は福良さんかな」
『赤の他人なのに本当にありがとうございます。
いっぱいお勉強しますね』
にっこりと笑う彼女見て、俺達は安心した。
須貝は彼女が何科なのか気になった様で質問していた。
『経済学部です』
「え、俺の後輩じゃん」
「え〜伊沢の後輩かよ〜理系にしようよ、面白いよ?超伝導」
「ダメです須貝さん、誘わないでください」
そんなやりとりを彼女はまた笑っていた。
でも合間にふと見せる少し曇った顔は隠し切れていなくて、3人はその顔に気付いているのかいないのか分からない。不安な気持ちが晴れるにはどうしたらいいのかと考える様になった。
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作者名:かおる | 作成日時:2021年9月19日 0時