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「…えっ、村上くん!」
びっくりした。
もともと人付き合いの多い村上くんは、俺の店以外にも贔屓にしてるとこがたくさんあって、店に来てくれることは少なかったから。
村上くんがいるってことは、すばるくんも…なんて考えが浮かんだけど、村上くんの隣には誰も居ないのを確認したら、ホッとしたのとガッカリしたので胸を撫で下ろす。
「村上くんめちゃくちゃ久しぶりやなぁ。今仕事終わったん?何か食べて行く?」
なんとなく村上くんには目が合わせ辛くて、わざと明るい声を出して何でもないフリをする。
「…いや、客として来たわけちゃうねん」
いつもよりワントーン低く聞こえる村上くんの真剣な声に、肩が竦む。
「え、あ、そうなん…せやったら…」
「すばるのこと、聞きに来た」
村上くんは俺に一歩近付くと、真っ直ぐな瞳で俺の顔を覗き込んだ。
「へ、え、す、すばるくん?」
何となく予想はしていても、いざその名前を聞くと思わず動揺してしまう。
この人はどこまで知ってるんやろう。
“ただの知り合い”であるはずの俺の所に話を聞きに来た訳ではないっていうのは、真剣な眼差しですぐに分かる。
「と、とりあえず店入ろ。外冷えるし…」
夏と言えど今夜は冷え込んでるし、外で話すのも変やし、何より俺がこの空気感に耐えれるかすらも分からへん。
消し忘れてた看板を急いで消して、村上くんを店内に促す。
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神流(プロフ) - 優花さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けると本当に嬉しいですヽ(;▽;)ノまだまだ出始めの不束者ですがご愛読頂けると光栄です。新作を書き始めたところなので、そちらも是非チェックしてみてください(^^) (2018年4月30日 18時) (レス) id: 88d8a22e68 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 完結おめでとうございます。神流さんのすばくら大好きです!次回作も楽しみにしています。 (2018年4月28日 8時) (レス) id: fc2a36b4f9 (このIDを非表示/違反報告)
神流(プロフ) - ジーナさんにご指摘頂くまで気付くことが出来ず、申し訳ありません。ご指摘頂きありがとうございます。続編については少し考えさせていただくことにします。 (2018年4月27日 0時) (レス) id: 88d8a22e68 (このIDを非表示/違反報告)
神流(プロフ) - ですが、今回はあくまでセッションでの3人を見て連想した話なので、完全に影響を受けていないとは言えないかも知れませんが、私の連想を文字にした形です…。登場人物や相関図が被ってしまっているのは気付いており、本来ならどこかで説明するべきでした。 (2018年4月27日 0時) (レス) id: 88d8a22e68 (このIDを非表示/違反報告)
神流(プロフ) - ジーナさん» はじめまして。ジーナさんが仰ったぴぃすさんは、私が名前を出すことすら烏滸がましいくらい尊敬している作者さんです。もちろん作品も読ませて頂いておりますし、私の作品の設定が似てると思われるのも納得できます。 (2018年4月27日 0時) (レス) id: 88d8a22e68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神流 | 作成日時:2018年4月5日 19時