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『さぁ、なんでしょう…
私にもよく……わかりません』
「は？」
『かつてはチョコレートだったもの、です』
「………あぁ、バレンタインデーだから…」
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彼は何かを察してくれたのか、それ以上は何も聞かなかった。
その心遣いが、彼はきっと気が回せて優しくて、絆創膏持ち歩くほど女子力も高くて、愛を誓い合う日に、あくまでも半年近く付き合った元彼女を泣かせる人ではないんだろうなと感じた。
そんな彼の姿と元彼の姿を照らし合わせて、何を思ったのか、私は奇行に走ってしまった。
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『…あの、本当に色々ありがとうございました』
「いや、別に大丈夫だよ。絆創膏くらい」
『……お礼といってはなんですが、これ……』
「……………え？」
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そう言って差し出したのは、勿論あのチョコレート。
デロデロに溶けて、バキバキに踏まれたチョコレート。
もはやゴミ。そして彼はゴミ箱ではない。
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「……や、あの………、………え？」
『毒とか入ってないんで、ほんと』
「いや、そういうことじゃ無くて」
『いやなら、捨ててください』
「………いや、あの、……」
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今思えば自分で捨てろよってツッコミたい。
でもこの時私は余裕がなかった。
元彼に見捨てられた辛さと、次の電車の時間が迫ってきていることもあって、拒否されずに受け取ってほしい私のエゴから押し売りのように、半ば強引に渡してしまった。
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そこからの記憶はほぼ無い。
むしろこの記憶を無くしてほしいくらいだ。
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唯一の安心材料は、あの日から2日、名前も知らないあの彼に出くわしていないことだ。
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占部亮平 - 展開がどんどん意外な方向に進んでいってドキドキしながら読ませていただきました。続きが気になります！北斗と別れちゃったのもたぶんちゃんと理由があるんだろうし。更新楽しみにしてます！ (2020年7月6日 17時) (
レス) id: 2b51865c27 (このIDを非表示/違反報告)
tatsu.sn - スゴい気にいちゃいました! これからの展開楽しみに待ってます! 完結まで頑張って下さい! (2020年5月12日 0時) (レス) id: 13f37c010a (このIDを非表示/違反報告)
: シイナ。(プロフ) - あべべ担さん» あべべ担様はじめまして。コメントありがとうございます！担当様の小説なので、満足していただけるようがんばります（ ; ; ） (2020年4月26日 20時) (レス) id: a5957121ae (このIDを非表示/違反報告)
: シイナ。(プロフ) - mizukingyoさん» mizukingyo様はじめまして。コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです…！この作品に出会ってくれてありがとうございます！これからも楽しんでもらえるよう、更新していきますね（ ; ; ） (2020年4月26日 20時) (レス) id: a5957121ae (このIDを非表示/違反報告)
あべべ担 - すっごく面白いです。これからも、頑張ってください。応援しています。 (2020年3月14日 3時) (レス) id: 0eec77d339 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：: シイナ。 | 作成日時：2019年8月10日 0時
