蘭くんはオトしたい【灰谷蘭】

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か行の欄に追加された “ 枢木A ” の名前。


嬉しそうに携帯差し出してくるもんだから
そのうち詐欺かなんかに引っかかるんじゃねえかと思う。
あっさり人を信用しすぎである。そう仕向けたのオレだけど。



あれから駅まで送り届けて、帰りにウン年振りに本屋に寄った。

耳聞こえねえのに電車大丈夫か、とも思ったが
行きは来れたようだし本人が平気っつうなら平気なんだろう、と駅で見送った。
初対面なのに最寄りまではさすがにアレかとも思ったし。



どれがいいかとか分かんねえから片っ端からそれっぽいもの買ってきて
雑にテーブルに広げたところで、出かけてたらしい竜胆が帰ってきた。






「 ･･･何、その本の量 」






思いっきり眉をしかめて怪訝な顔。






「 手話 」


「 は？ 」


「 だから、手話。勉強しようと思っ･･･熱はねえよ 」






無言で額に当てられた手を払いのけた。失敬な。






「 え、なんで？しかも手話？･･･は？ 」






混乱する竜胆を横目にとりあえず手に取った本のページを開く。






「 今日知り合った女の子が耳聞こえない子でさ。
すげー可愛いの。あれ絶対処女。もらったわ 」


「 ･･･可哀想 」


「 おい 」






いや、自分でも思うけど。
オレみたいなのに気に入られちゃって可哀想、って。

でも離してやる気は毛頭無い。
絶対オトしてオレのモンにする。






「 手話？指文字？何が違ェんだ･･･あーわっかんね、 」






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