蘭くんはオトしたい【灰谷蘭】

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とりあえず近いトコから、と教えてもらった雑貨屋を目指す。

１０分ほど歩けば看板が目に入って
やっぱりわかりやすいくらい表情を輝かせる彼女に思わず頬が緩んだ。




店ン中に入って 好きに見ておいで、と手を離す。


なんとなく店内を見渡すもすぐに飽きてきて、
やっぱり目がいくのは楽しそうにアクセサリーを選ぶAちゃん。

高ぇモンばっか集る女としか付き合ってこなかったし
最近はそんなのにも疲れてセ フレとしか遊んでねえし、
数百円・数千円でキラッキラと表情を輝かせる彼女に
なんというか、色々買ってやりたくなる。


そのまま近づくこともせずに見守っていると
店員が彼女に近付いて話しかけた。






( あー、困ってんな )






そっと近付いて、Aちゃんの肩を抱く。






「 この子、耳聞こえねーの 」


「 それは大変失礼致しました･･･！
手話のできるスタッフを連れてまいりますので！ 」






意外としっかりした店なんだな、なんて思いながら
ほっせー肩のAちゃんを見下ろすと。






( ･･･やば )






耳まで真っ赤になってふるふると震えている。
アレか、男とこんなに密着すること無ぇからか。

ちょっといじめたくなってさらに体を引き寄せると
真っ赤な顔のまま涙目で見上げてくる。
どうしていいかわからない、って表情。






( ･･･かわい、 )






こんなんでそんなカオしてたらこの先もたねえんじゃねーの。






( いや、この先ってなんだ )






めちゃくちゃ自然に先のこと考えてて自分でびっくりした。






「 お待たせ致しました 」






さっきとは違う店員で どうやら手話ができる人のよう。


瞬間、オレの腕からするりと抜け出したAちゃんは
なにやら店員と手話で話しだす。

そうなるといよいよオレに出る幕はないので
また、適当に店内を見てまわることにした。







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