蘭くんはオトしたい【灰谷蘭】

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『 ──── 〜ッ、？、っ！？！？ 』






文字通り、声にならない叫び声。

めちゃくちゃ逃げて部屋の隅っこで縮こまってて面白い。






「 そんなに嫌か 」






ソファから立ち上がってAに近付こうと一歩踏み出すと 読みかけで放置してた雑誌を盾にして必死に逃げようとする。雑誌でオレに勝てると思ってんのか。



感情が全部表情に出るから、びっくりしてんのと恥ずかしいのと怖いのとで もう半泣きのA。
部屋の隅っこで震えてるのが可愛くて、さらに追い詰めたくなる。

とん、と壁に肘をついて逃げ場を無くす。
Aの脚の間に無理矢理膝を捩じ込んで、頬を掴んで目を合わせた。






『 ら、 』


「 んー？ 」


『 蘭、蘭･･･っ 』


「 何が言いたいかわかんねーよ♡ 」






言いたいことがありすぎて頭ん中ぐっちゃぐちゃな感じ。

仕方ねえか、と携帯を渡せば 震えながら文字を打ってて笑いそうになる。






《 えっちはまだ怖い 》


「 ･･･ふーん、 」






“まだ”、ねえ。






《 触られるのは嫌じゃなかったから、いいよ 》


〈 触るのはどこまでならセーフ？ 〉






ここまで相手の様子を伺いながら進めたことなんて今まで一度も無い。






《 どこまでって何？ぎゅーってするのはいいよ 》






ほんと何も知らねえんだな。






〈 触るだけでも気持ちよくなれるんだよ 〉


《 えっちなやつですか 》


〈 えっちなやつです 〉






なんだこの会話。オレは何をやってんだ。

あまりにも相手が純粋すぎるが故、どうしていいかわからない。






《 嫌じゃないけど、怖い 》






“ 嫌じゃない ”

それが分かっただけで何かが満たされる気がする。






〈 怖いのがなくなるまで何もしねえよ。でもちゅーは許せ 〉






その文章を読んだAはほんのりと頬を染めて オレの唇に自分のそれを重ねてきた。


ので、酸欠になるぐらいふっか〜いキスをしてやった。







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