蘭くんはオトしたい【灰谷蘭】

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《 ────蘭さんは１８歳なんですね！ 》






きけば、Aちゃんは１７歳。
まあ、年下だろうなとは思ってたけど。

で、なんとなく思った。






〈 蘭さん、ってやめねえ？あと敬語も。カタくて嫌 〉

〈 蘭、って呼んで 〉






イチゴのタルトを頬張るAちゃんは
画面を覗き込んで、ぱちくりと瞬きした。






『 ん、 』


「 え･･･、 」


『 ら、･･･。らぁ･･･ん 』






ちっちゃくて 少しかすれてくぐもったような声。

まさか声に出して呼んでもらえるとは思ってなかったからびっくりする。






『 らん･･･、？ 』


「 言えてるよ 」


『 、！らん、蘭！ 』






嬉しそうに何度も 蘭、蘭、とオレの名前を呼ぶ。

自分の表情がゆるみまくってるのがわかる。
誰かに名前を呼んでもらうのってこんな嬉しいもんだっけ。






「 A、 」






オレが呼んでも気付かない。当たり前か。






『 蘭！ 』


「 んー？ 」






少し手を伸ばせば届く距離。

やわっこいほっぺたに触れてむにむにとつまんだ。






『 、？ 』






一体私は何をされてるんだろう、って顔。






『 ･･･りゃん(らん) 』


「 ふは、 」






舌っ足らずな発音で オレの名前だけを呼ぶ。






『 っら、ん･･･ぁり、と！ 』






蘭、ありがとう。


手話と一緒にそう言った。






( ･･･あ、もうダメだわ )






完全にオトされたわ、オレ。







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