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土砂降りの雨の中、外に出てるのは僕ひとり。
家にいたくなくて飛び出してきたけど、こんな天気じゃもっと憂鬱になっちゃう。
『 …公園、行こうかな 』
屋根付きのベンチがある小さな公園。
高校生の頃、放課後によくテヒョンと遊んでいた公園。
家を出たといっても大邱に住んでることには変わりないからすぐ辿り着ける。
本当は実家から遠いところに住みたかったけど、そんなお金はないし。
『 ……変わってないなぁ、』
歩いて数分で着いた懐かしい公園は、あの頃からなにも変わってない。
少し、古くなっちゃってるけど。
『 ……っ、』
ベンチに座った途端一気に思い出が甦ってきて、止まっていたはずの涙がまた溢れてきた。
そういえば、あの日僕の恋が終わったのもこの公園だった。
終わったというか、終わらせたんだけど。
あれ、テヒョンが告白してくれたのもここじゃなかったっけ。
あー、僕の馬鹿。
なんでここに来ちゃったんだ。
『 …………てひょん、』
「 ………A、?」
ぽつり、と口から出てきた大好きな人の名前。
そのすぐ後に、僕を呼ぶ大好きな人の声が聞こえてきた。
多分、これは僕が思い出に浸りすぎ聞こえた幻聴だ。
そうじゃないとおかしい。
忙しいテヒョンが平日の昼間から、こんな雨の中、こんなところにいるはずない。
「 …A、だよね 」
すぐ近くから聞こえてくる声。
嫌だ、絶対見たくない。
見たら、駄目だ。
「 A、」
『 …って、ひょ、』
「 っ、会いたかった…!」
急に目の前が真っ暗になった。
冷えた体が温まっていく。
「 やっと、っ、やっと会えた、」
苦しいくらい強く抱き締められる。
匂いも体つきもあの頃とは違うけど、僕を抱き締めてるのはテヒョンだ。
ずっとずっと会いたかったテヒョン。
僕が間違えるはずない。
「 連絡とれないし、家に行ってもいないって言われるし、!」
『 ごめ、っ 』
「 お願い、謝らないで、」
テヒョンの声が震えてる。
あんな酷いこと言われたのに家に行くって、なんでそんなに必死に僕のこと探してたの。
「 有名になって会いに行こうと思ってたのに、全然見つからないし、」
『 っ、ごめ、なさ、』
「 ヒョンたちに写真まで見せたんだよ、俺 」
僕の肩が濡れていく。
僕もきっとテヒョンの服を濡らしてる。
高そうな服濡らしてごめん。
またテヒョンに会っちゃってごめんね。
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田中(プロフ) - リズ憂孤さん» ありがたいです、、助かります、、 (2022年6月23日 8時) (レス) id: c5526f2e67 (このIDを非表示/違反報告)
リズ憂孤(プロフ) - 大丈夫、待つのってわくわくして待ってられますよぉ、だからゆっくりでも問題なしです。ムリしないで下さいませぇ。 (2022年6月22日 18時) (レス) @page47 id: 5b67b5f4ec (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - うゆさん» うううう、ありがとうございます、、!本当に更新遅くて申し訳ないです、、頑張ります!! (2022年2月6日 18時) (レス) id: c5526f2e67 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - 100年経っても待てる気がします!まじで主様の作品好きです!頑張ってください‼︎ (2022年1月15日 23時) (レス) @page29 id: 0686dad9b0 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - だぁさん» うわああありがとうございます!嬉しいです!!メンバーが年下いいですねえ、すぐには書けませんが時間を見つけて書かせていただきます!! (2022年1月7日 17時) (レス) id: c5526f2e67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田中 | 作成日時:2021年8月15日 0時