社畜と飼い主

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ついに土曜日がやってきました。

目の下に濃い隈を作ってお昼過ぎに駅前に立ってるのは多分僕だけ。

原因のシウくんはまだ来ないし。




「 …えっ、うわ、おしゃれ、」

『 遅い 』

「 いやそれはごめん 」




遅れてきたくせに第一声が褒め言葉って。

嬉しいから許すけど。




『 今日、何するの 』

「 ん〜？多分もう少しで来るはずなんだけど…、」

『 は、？』

「 ……あ、君たちがシウくんとAくん？」




シウくんがキョロキョロしだしたと思ったら、すごい怪しい人に声をかけられた。

帽子を被ってて、サングラスをしてて、マスクをつけてる人。

顔見えないし。

誰、この人。

シウくんどういうこと。




「 あっ、チミさんこんにちは！俺がシウで、こっちがAです 」

『 え、？まって、シウくんどういうこと、』

「 まぁまぁ、」

『 まぁまぁ！？』




1人だけ置いてけぼりな僕。

説明くらいしてくれてもよくない？

今日のせいで、今週毎日24時過ぎに退社の僕になんの説明もなし？

嘘でしょ、シウくん。




「 シウくんなにも説明せずにAくん連れてきたの？」

「 だって言ったら絶対来てくれないですもん 」




そりゃあね！！

当たり前ですけどね！？

僕の前でのほほん、ふわわんな、雰囲気出さないでもらえますかね！？




「 まぁ僕、Aくんのほうが好みだからシウくんはいいや 」

『 え…？』

「 ということで、行こっかAくん 」




呆然としてる僕の手を引いて歩き出すチミさん。

待って、本当にどういうこと？

てかシウくんは？

めちゃくちゃ笑顔でグッドサインしてくるけど、なに？




『 え、？えっ、ちょっと、え、？』

「 とりあえず僕の家行こうね 」

『 まってまって、こわいこわい、』

「 ちゃんと帰らせるから大丈夫だよ 」




優しそうな声してるのに言ってること全然優しくない。

めちゃくちゃ怖いんだけど、本当になに。

逃げたらころされそうだから逃げれないし。

うわ、本当に来なきゃよかった。




「 お、タクシー来た 」

『 …まって、説明だけでも、』

「 タクシーの中でしてあげる 」




いそいそとタクシーに押し込まれて、いよいよ逃げられなくなってしまった。

もう死なないならなんでもいいから、早く説明してほしい。

その説明次第でシウくんとの関係性が変わってきちゃうわけだけど。



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