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「変わらねえ…質素で簡素な部屋だな」
俺は一人、彼奴の家に訪れていた
長らく使用されていないこの家は随分と廃れ、埃はたまり、蜘蛛の巣に侵され、完全な廃墟にまで堕落してしまっていた
だけれど、彼女の部屋であったという本質は変わらない
家具の位置、家具の量、一つだけ飾られた掛け軸、茶色の花瓶…俺が覚えている一番新しい記憶にある物は、そのまま設置されたままだ
「……お前だけが、いないのな」
埃を纏う机に指を這わせ、そう呟く
不意に上を見上げた時、一つの引き戸が目に入った
妙に其れが気になった俺は、窪みに手を掛けて開けようとするが、中々開かない
「んっだよ之、開かねえ!!」
一度ドンッと叩き、もう一度横に引けば、其れは鍵を解かれた様に簡単に開かれた
その勢いでよろけた俺は、派手に畳の上に尻餅を着いた
瞬間、封筒が舞う
バサバサと落ちてくる封筒を一つ手に取れば、其処には
−宇髄天元様へ
見覚えのある字で、そう書かれていた
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千聖(プロフ) - 目から鼻水?が出てきてやばいです (2月26日 1時) (レス) @page14 id: 1899f7b5ef (このIDを非表示/違反報告)
美園 - 感動しました。涙めちゃででやばいぐらいでした。ありがとうございます。 (2022年8月13日 16時) (レス) @page14 id: d0751a4b5d (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - 泣きました、ありがとうございました。 (2022年1月23日 19時) (レス) @page14 id: aef1afb3d8 (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - 天元さん、、やっぱ嫁の人数増やそう、、?ちょっと目から汁が、、、アアアッ (2021年11月20日 2時) (レス) @page14 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
れな - めちゃくちゃ感動しました。涙が溢れてもうやばかったです (2020年12月29日 20時) (レス) id: 75a44e24da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:C吉 | 作成日時:2019年9月24日 0時