第五話 兄妹 ページ7
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「伝令!伝令!単独任務ゥ!ココカラ南南東ゥ!向カウ!向カウ!」
「そ、そんな…まだおうどん九杯しか…」
「もう十分だろーがさっさと行け!!」
「自分はもう十杯も食べてる癖に何言ってるんですか!」
「これ俺の金!俺が!お前に!奢ってんの!俺は幾らでも食ったって構わねぇだろうがお前は違ぇの!遠慮しなきゃ駄目なの!!」
「………宇隨様、随分と地味なお考えなのですね」
「こういう時だけ派手さ求めんな!!」
ギリギリと文字が浮かんでいるのが分かる程、宇隨様は腕を組んで
恐らく私が無遠慮なことの他に、一度彼の器に大量の七味をぶちまけたことを怒っているのだろう
お陰で宇隨様の唇は今真っ赤だ
「…ったく、わぁったら早く行け」
「はい。すみません、ご馳走様でした。無遠慮で申し訳ございません」
「もういいっての」
何だかんだ文句を言いつつも、私に金を出せとも言わず、もう奢らないとも言わず、必要以上に責め立てないのは、彼の変わらない優しさだ
いつもこうして、私は宇隨様に甘えてしまっている
「俺は一回帰っかな」
「奥様方によろしくお伝え下さい」
「彼奴らも会いたがってっから、偶には煉獄…兄貴でも連れて飯でも食いに来いよ。ついでに弟もいいぜ、派手に出迎えてやる」
「………お米の貯蔵を万全にしといて下さいね」
「幾ら食う気だ……」
宇隨様は、にっと笑って私の頭を撫で回した
でも、髪型が崩れないように、優しく
「手間のかかる妹みたいだな、お前は」
「そんじゃ気ぃつけろよ」と、一言漏らしてから宇隨様はさっさと走り去って行ってしまった
妹……妹…………
「んふふ…それなら私は、とんでもなく、兄弟運が良いですね」
暗い夜道を、私はゆったりとした足取りで進んだ
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アルム(プロフ) - 更新待ってます! (2019年11月13日 15時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
樹(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月26日 6時) (携帯から) (レス) id: 4967caf707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:C吉 | 作成日時:2019年9月13日 15時