煉獄兄妹【鬼滅の刃】 (ページ6)

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第四話残酷な程に善良な彼女ページ6

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「よし、今の奴で最後だったな」

「…はい、そうみたいですね」

刀を鞘に収めながら、其奴は最後に斬った鬼がいた場所をただただ儚げに見つめる

もう既に散ったというのに、此奴はまるでそこにまだ誰かいるかのように、優しい視線を投げ掛けていた

いつもこうだ

煉獄A…煉獄杏寿郎の妹であり、その継子である彼女は、どうしようもないくらいに慈悲深い人間だった

ハッキリ言ってしまえば、こんな仕事、此奴には合わない…合うはずがないのだ。優し過ぎる此奴には、どうやっても性に合わないはずなのだ

なのに

「どうか、安らかに」

此奴は、毎回毎回、鬼を斬ってはそう言って手を合わせる

馬鹿みたいだろう

鬼を斬る奴が、鬼を斬った後、その鬼を労るんだ

なんて馬鹿みたいな話なんだか

「……行くぞ、飯でも奢ってやるよ、派手にな」

「私はおうどんが食べたいです宇髄様」

「地味だな…もっとなんかねえのかよ」

「派手に七味をぶちまけますよ!宇髄様のおうどんに!」

「おっれのかよ!!」

いつも通りの彼女

少しばかりの鼻歌を響かせながら、俺の前を足早に進む彼女

だが俺は知っている。この行為が、この一回一回の行為が、その小さな背中にどれだけ重くのしかかっているのかを、俺は知っている

「宇髄様、早くしないと私が宇隨様を背負って山を下りますよ」

「やれるもんならやってみろーってな」

「うぎゃっ!」

ひょいと軽く脇に抱えてやれば、Aは派手に暴れる

それでも離さずに山を下り続ければ、諦めた様に俺に身体を預けて来た

「………向かねぇよ、お前にゃ」

小声で言ったそれは、勿論彼女には届かない

こんな風に簡単に、お前の重荷を背負ってやれればって、心の底から思うよ

でもお前はそう言っても、知らぬ存ぜぬを突き通しそうだ。ド派手に阿呆だからな

「おうどんは三杯までだからな」

「そ、そんな!ド派手に七杯は行かせて下さいよ!」

「そこは地味に行け!!」

この重く軽い身体を落さない様に、もう一度存在を確かめるかの様に、腕の力を強めた