かわいいひと ページ30
｢ありがとう｡また助けられちゃったなぁ｣
すぐ後ろからかけられた穏やかなその声に私はゆっくりと頷いて見せる｡すると､途端に片手を引かれ､背後を振り向かせられた｡
｢でもこれで､やっと君に追いつける｣
どうやら､覚悟は決まったらしい｡
かつて“ホークス”と呼ばれたその男は､相変わらず気の抜けたような顔をしていた｡そしていくつ歳をとっても相変わらず顔がいい｡腹が立つ｡
だが､思いがけず目頭が熱くなった｡絶対にこんな男のために泣いてやるつもりなんか微塵もないが｡
｢あれ､なんかしばらく見ないうちに不細工になった？｣
｢は？対面早々､地面とキスしたいのか？｣
｢冗談だって！……俺がそんな顔させてんでしょ？｣
｢もともとこんな顔だわバカアホ童顔イケメン｣
｢ごめんて｣
ホークスは今にもそっぽを向きそうな私の肩を掴んでひとしきり笑うと私の顔を覗き込み､まるで顔色を伺うかのような上目遣いでこう言った｡
｢抱きしめたい｡抱きしめていい？｣
は？何こいつあざといかわいい
｢………ん｣
私は声に出そうになる心の声を何とか抑えながら両腕を広げた｡それを見てホークスは力強く私を抱きしめる｡すると次は耳元でこう尋ねてきた｡
｢キスしたい｡キスしていい？｣
｢………それ､いちいち聞く必要ある？｣
｢ある｡だって俺たち恋人じゃないから｣
少し､ホークスの声色は不安げだ｡どうやら私のことを気遣って言っているらしい｡
……ほんっとうにこの男は｡
｢これでも独身三十路女なんでいいんじゃないですか｣
｢あ､やっぱり？｣
｢やっぱりってなんだ！｣
｢そんな怒らんで｡じゃ､遠慮なく｣
そうして､キスをした｡
互いを確かめ合うような｡温もりを分け合うような｡そんな､柔いキス｡
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そら(プロフ) - 昨日今日で一気見しました！叫びそうなほど良い作品うぃありがとうございます！！！お疲れ様でした (2020年7月28日 19時) (
レス) id: 8efb03cbb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後までお読み頂き本当にありがとうございます｡Another story編作らせて頂きました！ぜひともそちらの作品もお楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2019年9月15日 12時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - お疲れ様でした。とてもよい作品で、私が1番好きな作品でした。よければアナザーストーリーで2人のその後みたいなのが見たいです！お待ちしてます。 (2019年9月11日 17時) (レス) id: 96c851f2fd (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 刹鬼さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後まで読んで頂き､本当にありがとうございます｡最後にそう言って頂けてとても嬉しいです！ (2019年9月10日 21時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼いたします。そして、完結おめでとう御座います！読んでいると心がとても温かくなる最高の作品でした。お疲れ様です (2019年9月10日 19時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハイイロ | 作成日時：2019年5月1日 0時
