53.とある男と､とあるヒーローの独白 ページ14
その時出会った彼女はエンデヴァー事務所の
サイドキックにして秘書｡
ヒーロー“カゲロウ”といった｡
彼女も歳若くして､��2ヒーローの秘書兼サイドキック……所謂“右腕”という立ち位置に就いて､世間で様々なくだらない噂がたった｡
愛人や､隠し子説｡
それはもう本当に根も葉もないくだらない情報｡
しかし､そんなことに彼女は動じることなどなかった｡それどころか､彼女がエンデヴァー事務所に入ったことで､更にエンデヴァーさんのヒーロー活動が効率的に回るようになり､敵事件解決数は
オールマイトをも上回った｡
“エンデヴァー”と“カゲロウ”
この2人はまさに俺の尊敬するヒーロー像だった｡
だから､るいさんと仲良くなるにつれて､俺は
ある意味困惑した｡
ストイックで､あまり表情のない真人間だと思っていた彼女は存外､よく笑う人間で｡
よく怒って､よく喋って､よく馬鹿げた冗談も言うとても陽気で面白い人だった｡
ほとんど大人の中で育った俺は､るいさんみたいな同年代の人と話すことも新鮮で｡
すぐに打ち解けると､こんなにも傍にいて楽しい人間がいるのかと驚愕した。
無言の静かな空間でも､こんなにも心が落ち着いて､むしろ傍に居て欲しいと思える人間がいるのかと｡
きっと俺はもうずいぶん前から彼女への“憧れ”の感情が別のものへと変わってしまっていたんだと思う｡
それが､彼女と更に親交を深めることでもう後戻りできないところにまで来てしまっていた｡
俺は､強欲な男だから｡
どうしても､すぐ手を伸ばそうとしてしまう｡
駄目だと｡
それはいけないとわかっているはずなのに｡
彼女が､俺をすきだと言ってくれた｡
すごく､嬉しかった｡
気づけば､不用意に彼女に触れてしまうほどに｡
ほしい､と思った｡
言葉にできるような､感情じゃない｡
とても痛くて､苦しいんだ｡これは｡
とても耐えられないんだ｡
だから､どうにかして封じ込めないと｡
もう､彼女には会えない｡会ってはいけない｡
会ったら､どうにかなってしまう｡
何かを欲するこの手が､身体が｡止まらなくなる｡
もう間もなく､行かなきゃならない｡
俺はもう､彼女の傍にはいられないんだから｡
大丈夫｡
また､ひとりに戻るだけなんだから｡
だから､大丈夫｡
どうしても､行かなきゃならない｡
俺は──────────ヒーローだから｡
54.この鼓膜は､正しく揺れているのか｡→←52.とあるヒーローと､とある男の独白
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そら(プロフ) - 昨日今日で一気見しました！叫びそうなほど良い作品うぃありがとうございます！！！お疲れ様でした (2020年7月28日 19時) (
レス) id: 8efb03cbb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後までお読み頂き本当にありがとうございます｡Another story編作らせて頂きました！ぜひともそちらの作品もお楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2019年9月15日 12時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - お疲れ様でした。とてもよい作品で、私が1番好きな作品でした。よければアナザーストーリーで2人のその後みたいなのが見たいです！お待ちしてます。 (2019年9月11日 17時) (レス) id: 96c851f2fd (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 刹鬼さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後まで読んで頂き､本当にありがとうございます｡最後にそう言って頂けてとても嬉しいです！ (2019年9月10日 21時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼いたします。そして、完結おめでとう御座います！読んでいると心がとても温かくなる最高の作品でした。お疲れ様です (2019年9月10日 19時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハイイロ | 作成日時：2019年5月1日 0時
