51.“健気に恋する乙女”は､もう終わり｡ ページ12
｢ほんとにさ……何なの､お前｡
いきなり意味深な発言したかと思えば
全然会えなくなるし｡連絡先も全部ぶつ切り｡
飲みにも誘えなくなるし｣
私の口からはボソボソと聞き取りづらいであろう言葉がいつの間にかたくさん垂れていた｡
｢エンデヴァーさんとはいっぱい連絡取り合ってるし､私の知らないとこでなんかちゃっかり一緒に仕事とかもしてるし｣
今までの文句をタラタラと身勝手に愚痴る｡
だってこうでもしないと､聞けないから｡
私は足を抱いて座り込むと､目の前にある膝に顔を半分埋めた｡
｢何かあるんなら､ちゃんと教えてよ｡
じゃないと､こわいじゃん｣
私はホークスに発動している個性を解いた｡
すると彼はゆっくりと上体を起こしてこちらに顔を向ける｡今､どんな顔をしてるんだろう｡
私は恐る恐る顔を上げた｡
しかし､気づいた時には目の前に今までにないほど近いホークスの顔｡
頬を彼の羽毛のような柔らかい髪が掠め､
唇で､柔く､温かい感触を感じる｡
そして､自然にその感触が唇から離れても｡
私は眼前にある彼の瞳から目が逸らせないでいた｡
初めは､彼の方が酷く驚いた顔をしていた｡
だけど､すぐに寂しそうに微笑んで､こう言った｡
｢俺も､会うのがこわかった｡……だって君と居たら､こんなこと｡すぐしちゃいそうになるから｣
｢……こんなこと､って｣
今みたいな､キスのこと？
｢ごめん｡……さっき､言ってくれたこと｡すごく嬉しかった､ありがとう｡でも､｣
ホークスは片手で私の視界を覆う｡
そして静かな声で────
｢俺のことなんか､忘れて｣
また､私を拒んだ｡
バサバサッ！
力強い羽音が間近で聴こえ､風が強く顔に当たる｡
気がつけば､そこにもうあの男はいなかった｡
ただ､一枚｡そこには小さな紅い羽根があるだけで｡
私はその場に背中から倒れ込むと､大の字に寝そべって､青すぎる空を見上げた｡
｢………バァ───カ！！｣
思いっきり､叫んだ｡アイツに聞こえるように｡
最後の､あの言葉は何なんだ｡
キスまでしといて｡
────もういい｡
いいよ､吹っ切れてあげる｡
52.とあるヒーローと､とある男の独白→←50.こわいけど､すき｡それだけは
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そら(プロフ) - 昨日今日で一気見しました！叫びそうなほど良い作品うぃありがとうございます！！！お疲れ様でした (2020年7月28日 19時) (
レス) id: 8efb03cbb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後までお読み頂き本当にありがとうございます｡Another story編作らせて頂きました！ぜひともそちらの作品もお楽しみ頂けたら嬉しいです！ (2019年9月15日 12時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - お疲れ様でした。とてもよい作品で、私が1番好きな作品でした。よければアナザーストーリーで2人のその後みたいなのが見たいです！お待ちしてます。 (2019年9月11日 17時) (レス) id: 96c851f2fd (このIDを非表示/違反報告)
ハイイロ(プロフ) - 刹鬼さん» コメントありがとうございます！そして今作品を最後まで読んで頂き､本当にありがとうございます｡最後にそう言って頂けてとても嬉しいです！ (2019年9月10日 21時) (レス) id: 87fa6c3c8e (このIDを非表示/違反報告)
刹鬼(プロフ) - 初コメ失礼いたします。そして、完結おめでとう御座います！読んでいると心がとても温かくなる最高の作品でした。お疲れ様です (2019年9月10日 19時) (携帯から) (レス) id: 363b2bec95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハイイロ | 作成日時：2019年5月1日 0時
