壊死【十代】 ページ9
『彼女は聡明だ』と誰かが言った。
『彼女は優しすぎる』と誰かが言った。
彼女は孤独と隣り合わせを歩んできた。
それは決して“愛し方”を知らず間違って進んだ母親や自分の妻しか愛していなかった父親や隣の家の飼い犬のルリヤが数日後に死ぬ事や小さい頃から精霊たちの声が聞こえる事など一切関係ない。
彼女を縛り付けたのは“言葉”だった。
「彼女は聡明だ」
「彼女は優しすぎる」
「彼女を愛している」
「彼女は悲しんでいる」
(本当は聡明なんかじゃない)
(優しくてごめんなさい)
(愛してくれてありがとう)
(分かってくれてありがとう)
“言葉”を送られると、返す。単純な事だ。
だが、同時に沢山の“言葉”が彼女の心をぐちゃぐちゃに溶かし、混ぜ、壊していった。
彼女は至って普通の人間で感情がある。
悲しい時は悲しい。嬉しい時は嬉しい。
だが、“愛情”だけは分からなかった。
「愛してる」
(？)
「大好きだ」
(いやだ)
何を返せばいい？
なんてこたえればいいんだ?
何が正解なんだ?
「好きだぜ」
目の前の男 遊城十代は笑顔で言った。
Aは混乱した。呼吸困難に陥ったように苦しい。
(知らない オレは知、ら ない)
「おい大丈夫か？」
様子がおかしいAに十代は焦り、声をかけた。
彼女は逃げ出した。アカデミアを出て、森を抜けて、海の中を躊躇い無く走った。十代は彼女の腕を掴んだ。
「A」
「いや、だ 愛してるなんて、オレ、は知らないっ」
「何言ってんだよ！」
怯えた表情のAを十代はギュッと抱きしめた。
「何も言わなくていい」
「で、でも」
彼女の頭には“返す”事で頭を巡らしていた。
(早く、はやく返さないと……！)
恐怖からなのか、黒と深い紫目から大粒の涙が流れた。
太陽に照らされキラキラと光ながら海に落ちていった。
十代は更に強く抱きしめた。
まるで『離さない』と言うように強く、強く抱きしめた。
「言ってくれよ。『愛してる』って」
「あ、あい、し てる ？」
途切れながらもAは言った。
十代は彼女をあやすかのように頭を優しく撫でる。
彼が母親と重なったのか、Aは肩に擦り寄った。
━━━━━彼女は知らない。
満足そうに笑う彼の目が金色に輝いている事を。
これが最初から彼の狙いだと。
誰も知らない。
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ハルカ - お願いしますm(_ _)m (2018年2月5日 15時) (
レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
衣深汰(プロフ) - ハルカさん» バレンタインに間に合うようにしましょうか？ (2018年2月4日 23時) (レス) id: 51088f03f5 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです4期の十代でバレンタインのお話をお願いしますm(_ _)m (2018年2月4日 23時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです4期の十代で激甘のRのバージョンで主人公が十代に攻められてる感じでお願いしますm(_ _)m衣深さんが書ける限界までお願いしますm(_ _)m (2018年1月31日 10時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 話とても良かったです(≧∇≦)また思いついたらリクエスト出しますね(≧∇≦) (2018年1月30日 16時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衣深汰 | 作成日時：2018年1月29日 22時
