検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:10,237 hit

おかえり【十代】 ページ5

「オレ、異世界に行ってくる」


PDAで十代から海岸へ呼び出されたAは目を丸くした。
数日前にいなくなった生徒と教師たちに何かあるとは思っていたがまさか、そんな。

呆気に取られているAを他所に十代は続けた。


「もうここにはお前しかいない。ずっと1人だったお前に言うのも変かもしれないけど、
一緒に来ないか?」


綺麗な十代の手がAの目の前に出された。


「なんちって。Aはここで待っててくれよ
絶対に帰ってくるからさ! んじゃ、またな」


Aの手は空を切った。
十代はいつもの笑顔でぽんぽんと彼女の頭を撫でる。

(なんで苦しいのに笑っているんだ……)

俯いたAの目にさっきまで十代が立っていた砂浜に足跡が残っていた。
その足跡も波にさらわれ消えていった。






それから数ヵ月後 異世界から本校の生徒が少しずつ帰ってきた。

でも十代だけは帰ってこなかった。

(関係無い)

明日香や翔がレッド寮で十代の帰りを待ち続ける姿を横目で見た後 Aは浜辺に足が向いていた。

(あんなヤツ、しらない だって)

Aは波打ち際に静かに座り込む。
思っている事とは裏腹に目からは透明な水滴が頬を伝う。


「絶対に、帰ってくるって」
『クリー!』


月の光が海の反射され、暗闇の中に白い線がゆらゆらと揺れる。
Aは聞きなれた声に目を丸くした。


「ハネクリボー……」


彼女を心配そうに見つめるハネクリボー。
Aは申し訳ないと感じた反面 遂に幻覚まで見えてきてしまったのかと頭を抱えようとした時だった。


「よぉ」


俯いていた顔を上げると赤い袖が目に入った。


「じゅう、だい」


彼の面持ちは随分と変わっていた。


「明日からは一緒にいられるからさ。今までの分、許してくれよ」
「いやだ」


Aは即答した。
勝手にいなくなり、ひょっこり帰ってくるのは虫が良すぎるのだと。

十代はそれを聞くと目を丸くした。
そして儚げに笑うと糸が切れた様にその場に倒れた。

彼女は既で支えて抱きしめる。
十代がほんとにここにいると実感した瞬間でもあった。


「お前なら、そう言ってくれるって思った」


彼はイエローダイヤモンドの様な目を静かに伏せる。


「おかえ、り……阿呆野郎」


静かに寝息をたてる十代にAは目を伏せ言った。

不意打ち【ヨハン】→←助け【十代】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:遊戯王 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハルカ - お願いしますm(_ _)m (2018年2月5日 15時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
衣深汰(プロフ) - ハルカさん» バレンタインに間に合うようにしましょうか? (2018年2月4日 23時) (レス) id: 51088f03f5 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです4期の十代でバレンタインのお話をお願いしますm(_ _)m (2018年2月4日 23時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - リクエストです4期の十代で激甘のRのバージョンで主人公が十代に攻められてる感じでお願いしますm(_ _)m衣深さんが書ける限界までお願いしますm(_ _)m (2018年1月31日 10時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 話とても良かったです(≧∇≦)また思いついたらリクエスト出しますね(≧∇≦) (2018年1月30日 16時) (レス) id: 04586e5ef6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:衣深汰 | 作成日時:2018年1月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。