第七話 ダイヤモンド ページ8
「そうそう。これ、シンシャに渡したくて」
トパーズが彼の前に出したのはさっき摘んだ花だった。
「この花 キミにとても似てると思ったんだ」
トパーズはあどけなく笑いながら綺麗な紅い花をシンシャに付けた。
彼は小さな声で馬鹿と呟いた。
あの後 学校に戻ると周りの子たちはボロボロのトパーズを見て驚いていた。
「あー！ 服破けてるじゃーん！」
「あははー、すませーん」
レッドベリルが破れた部分を指差すと、トパーズの肩をガクガクと揺らした。
新しい服を貰い、彼に花を渡すととても喜んでいた。
「ルチール」
「変なあだ名で呼ばないでください。……今日は随分と派手にやりましたね」
「いやー、新型強かった。あとこれを見てほしい」
トパーズが持つ矢を見てルチルは一瞬 目を見開くが、すぐに無表情に戻った。
「ピンクトパーズですね」
「新型に乗せてた、と言うかヘリオドールとおんなじ」
棚から白粉と糊を取り出し、トパーズはにひりと笑った。
「お願いしまあす」
「ハイハイ」
トパーズがアレキサンドライトに新型の月人について報告した(と言っても記憶が乏しい為 報告らしいものはできなかった)後 自室に向かっていた。
「トパーズ」
「お！ ダイヤァ！」
こちらに来たのは可愛く微笑むダイヤモンドだった。
(今日は色んな子に会うな……楽しいや)
「どしたー？」
「帰ってきた時 ボロボロだったから……大丈夫？」
「おうとも。お兄ちゃんは皆より頑張らないとな」
「……」
｢ダイヤ？｣
彼の様子がおかしいと即座に理解したトパーズは顔を覗き込んだ。
「トパーズはやっぱり強いね」
「まあ、強くないと皆を守れないからな」
「僕ね、ボルツみたいになりたいの」
ダイヤモンドは最も硬い硬度十だが、衝撃で割れやすい方向がある。
それに比べて特別なボルツはダイヤモンド属の仲間であり、彼の大切な弟である。
トパーズは少し考えてからダイヤモンドの肩を掴み、こう言った。
「ダイヤはいい子で可愛くて癒しで」
「ト、トパーズ？」
「優しくて綺麗で可憐で俺の大切で大好きな子の１人だ」
ダイヤモンドは目をぱちくりさせ、戸惑いながらも理解した。それは彼なりの励ましの言葉だと。
「……ごめんね、トパーズ」
「もっと自信持てよー。ダイヤにはダイヤにしか出来ない事があるんだからさ」
トパーズが頭をぽんぽんと撫でるとダイヤモンドは照れていた。
彼につけた花がとても儚げに見えた。
続く
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衣深汰(プロフ) - 藍さん» お恥ずかしい間違いをしてしまった…！ 有難うございます…！ 訂正しました…！ (2017年12月21日 23時) (
レス) id: 51088f03f5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 先生は金剛(ｺﾝｺﾞｳ)ですよ。金銅では無かったと思います。 (2017年12月20日 17時) (レス) id: f71db61464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衣深汰 | 作成日時：2017年12月3日 22時
