第四話 シンシャ ページ5
次にトパーズが目覚めたのは深夜だった。
まだ眠気が取れていない目を擦りながら廊下を宛もなく歩くと目の前にシンシャが立っていた。
「おお、ビックリした」
「……驚いているようには見えないが」
(ほんとにびっくりしたんだけどなあ)
頭をかくトパーズの目は彼の右手首に向いた。
「ほら、医務室行くぞー」
トパーズが笑うとシンシャは渋々彼の後を追った。
シンシャの身体からは銀色の毒液が無尽蔵に出ている。
彼以外の宝石は彼の毒に触れてしまうとその部分に光が通らなくなり、削り捨てるしかない。
加えてシンシャは毒液の制御がまだできていない時が多く、ほかの宝石たちに迷惑をかけないようにと学校に戻らなくなった。
だが、腕がとれてしまった場合などはトパーズに治してもらう為に時々学校に訪れるのだ。
医務室に着くと早速トパーズは慎重にシンシャの腕を治していく。
「今日は何かあった？」
トパーズは腕を止めずにいつも通り問うと少し間を置いてから彼は話し始めた。
昼頃、月人が
虚の岬はヘリオドールが連れ去られた最も危険な場所である。その為他の宝石たちも近づかないが、フォスフォフィライトは知らなかったようだ。
彼を助けた時に腕がとれてしまったらしい。
「終わったよ」
「……すまない」
謝るシンシャにトパーズは頭を軽く撫でると恥ずかしいのかそっぽを向いてしまった。
「この後見回りだろう。一緒に行ってもいい？」
「……好きにしろ」
そう言うと足早に進むシンシャ。
その後を少しの距離を置きながら追うトパーズ。
水銀が暗闇の中でチカチカと光る。
トパーズはとても綺麗だと思った。
「そう言えばフォスと会ったんだろう？
どう━━━」
「なんで……」
思った、と聞く前にシンシャがトパーズの言葉を遮った。
「なん、で、アイツの話ばっかり…」
アイツとはフォスフォフィライトのことだろうか。
風でシンシャの紅く綺麗な髪が揺れ、隙間から少し眉を歪ませる彼の表情が見える。
トパーズはキョトンとした。
「……ごめんね、今までフォスと話したことなかっただろう？ だから、聞きたかったんだ。面白い子だろう？」
「……。うるさいヤツだった」
「ふふ、そうか。あの子はなんだかすごいことをしそうな予感がするよ」
トパーズの微笑みを見たシンシャは腑に落ちない顔をした。
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衣深汰(プロフ) - 藍さん» お恥ずかしい間違いをしてしまった…！ 有難うございます…！ 訂正しました…！ (2017年12月21日 23時) (
レス) id: 51088f03f5 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 先生は金剛(ｺﾝｺﾞｳ)ですよ。金銅では無かったと思います。 (2017年12月20日 17時) (レス) id: f71db61464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衣深汰 | 作成日時：2017年12月3日 22時
