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失礼しました、そう言って。
クルリと踵を返し、去っていった彼女。
【ソクミナ、今日は日本の肉じゃが作ってみたんだけど…食べる??】
この画面の向こう側にいるAと、本当に同一人物なのでしょうか。
僕はちっっとも分かりません。ワカリマセン。
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あの時のAの目。
別にMって訳ではないけれど、あまりに冷たくてゾクリとした。
俺たちを見ているようで見ていない、そんな感じ。
いつもの花が咲いたような笑顔は一切無く、ただ無表情。
だけども何処と無くイラついているような…こちらを敵視しているような…そんな感じ。
SM「うん、食べたいです………っと…。」
答えの出ない謎がグルグルと脳内を巡り、思わずうーんと喉を鳴らす。
SG「ヒョーン!Aさん来たぁー!」
インターホンの後、スングァンの呼ぶ声。
鏡で顔を確認してからドアを開ければ、ふんわり微笑むAが目の前に…。
か、可愛い…
ゆるゆると緩まる頰を必死に我慢して、彼女の持つタッパーを受け取る。
SM「ありがとう、」
貴「ううん、こちらこそ」
いつもの会話。いつもの俺たち。
なのに、何だろう。
心臓が嫌な音を立てる。
貴「日本の料理は初めて挑戦したから…味とか濃いかもしれない…」
目の前にいる彼女と。
今日、事務所で出会った彼女。
どちらが本物の彼女なのか。本当に同一人物なのだろうか。
分からない。分からない。ワカラナイ。
SM「A…あの、さ…」
……だから芸能人は嫌いなのよ
彼女の毒が、グッと言葉を詰まらせる。
聞きたい。でも聞けない。
ねぇ、君は誰?今日の君と、今目の前にいる君は…。
どうしてその笑顔を今日、見せてくれなかったの?
どうしてあんな事言ったの?
どうして…そんな疲れた顔をしているの?
貴「…どうしたの?」
SM「いやっ…あの……疲れた顔…してるように見えて…」
貴「え…、?」
聞かなきゃ良かったんだ。
というよりも、あの時。
嘘付かず、アイドルしてますって本当の事を言えば良かったんだ。
一つ嘘をつけば。
その嘘を守る為に、人はまた嘘を重ねるでしょう?
貴「最近ちょっと……色々あってさ…」
辛そうに、疲れた顔で泣き出す彼女を、そっと抱きしめる資格なんて無いのにさ。
あぁ、自分が馬鹿すぎて嫌になるよ。
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MIYAVI(プロフ) - のののんさん» 応援ありがとうございます!頑張ります…!! (2020年7月29日 16時) (レス) id: a7bc1f7132 (このIDを非表示/違反報告)
MIYAVI(プロフ) - のののんさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて…( ; ; )もしかして他の作品も読んでくださったんですか…?凄く嬉しいです(TT)!ソクミンさんのお話2作目もボチボチ考えているので、いつになるかは分かりませんが、また執筆させて頂きますね…! (2020年7月29日 16時) (レス) id: a7bc1f7132 (このIDを非表示/違反報告)
のののん - 素敵なお話でした!!またドギョムのお話読みたいです!MIYAVIさんのお話どれも好きです!応援してます! (2020年7月25日 23時) (レス) id: dc211264bf (このIDを非表示/違反報告)
MIYAVI(プロフ) - Marineさん» 完読お疲れ様です!ありがとうございます!!Marineさんの暖かいコメントで、とっても幸せな気持ちになりました。この作品を描いて良かったって思いました(TT)最後までお付き合いくださり本当にありがとうございます!!お世話になりました…! (2020年5月24日 18時) (レス) id: a7bc1f7132 (このIDを非表示/違反報告)
MIYAVI(プロフ) - Marineさん» 返信遅れました!!ごめんなさい!!( ; ; ) (2020年5月24日 18時) (レス) id: a7bc1f7132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MIYAVI | 作成日時:2019年7月13日 0時