WESTERS (ページ15)

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リビングへ戻ると、腕で目を覆って目眩に耐えている智洋

置いておいた洗面器も少し汚れてて、
今日は相当しんどいことが伺える

緑「っ、あっくんっ、、」

橙「ん？どした？」

俺の気配を察したともが控えめに呼んでくるから、
隣にしゃがんで耳を傾ける

緑「なんかっ、ふわふわする、ねんっ、、」

橙「ふわふわするん？貧血かな？」

クッションをソファーと足の間に入れて足元を高くする

緑「…っ、はぁっ、はぁっ、っ、」

橙「怖いなぁ、、」

まだ目を開けられてへんともにとっては、
あの貧血特有の浮遊感は、とてつもなく怖いはず

怖さから呼吸が荒くなってくるから、胸をさすって落ち着かせる

緑「っ、ぃやっ、、っ、はぁっ、！」

橙「嫌なん？」

やけど何故か胸をさする俺の手を嫌だと言って、身をよじる

緑「…っ、、ぅっ、、げぼっ、、！」

橙「おぉ、、気持ち悪かったんか、、」

間一髪で洗面器が間に合って汚れずに済んだ

気持ち悪くて胸をさするのを嫌がってたんか…

緑「はぁっ、はぁっ、っ、」

橙「ともー、ゆーっくりな？、焦らんよ？」

吐き気が収まれば再び呼吸を乱し始めるとも

いつもは起き上がれない日でも、あんまりかまいすぎないように家事とかをしながら見守る感じやねんけど、

今日はあまりにも症状が酷すぎてともの元から離れられへん

緑「っ、あっくんっ、、ごめんっ、、」

橙「ん？」

緑「しごとっ、ぼくのせいっ、、っ、」

"あっくんが仕事を休んでるのは僕のせい"

俺はともを守りたくてここにおるのに、
ともにそう思わせてることが悔しかった…

親が教育熱心なこともあり、
俺は中学を卒業して、高校は全寮制で全国トップクラスの高校に入った

高校時代は勉強や部活で忙しかったのもあって、実家にはあまり帰らず

その後、智洋が俺と同じ高校の受験に失敗した話を聞いたのは2年半前、

今思えば、受験勉強の時から体調良うなかったんやろうなって

それから両親は智洋を見捨てたように、過ごすようになった

自分の兄が親から虐められるのに耐えられなくなった望が、
俺に助けを求めてきて、俺が2人を引き取ることになった

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