7人兄弟の歯科物語4

-のぞむ- ページ41

だいき :
ペットショップ勤務のじゅんた君とアパレル勤務のりゅうせいは元旦も仕事なので、毎年12月末にみんなで予定を合わせて旅行に行っている。

今年は蟹を食べたいという俺の意見で、みんなで北海道に来た。
北海道についてからレンタカーを借りていろんなところを観光して、今は宿に到着。


じゅんた :
「ねぇ、明日朝日でも見に行かない？
近くに良さそうなところあるんだけど」

あきと :
「いいねぇ」

のぞむ :
「起きられるかな」

たかひろ :
「ふぁーもう眠…」

りゅうせい :
「俺も」

ともひろ :
「もう風呂入っちゃう？」

だいき :
「みんなで入ろうぜ！」


ともひろ :
だいきのそんな一言で、本当にみんなで入ることに…。笑

泡で遊んだりお湯を掛け合ったり…
他のお客さんがいないのをいいことに修学旅行のように大はしゃぎ。


風呂上がりは各々、布団に寝転がったり、クリームで保湿したり、携帯ゲームしたりと自由に過ごす。

そして、アラームをセットして眠りについた。


俺はなかなか眠れなくて、目を瞑って頭の中でダンスの振り付けでも考えることにした。
どれだけ時間が経っただろうか。
みんなの寝息も聞こえてくる中、誰かがトイレに行く足音。
じーっと見つめてみるけど、暗くて誰かわからない。
この時は特に声をかけることなく、再び目を閉じたんだけど、またすぐに聞こえる足音。
さっきと方向が同じなので同じ人かな？
腹でも痛いのかと思い、様子を見に行くことにした。

のぞむ :
「わっ！」
トイレから出ると前の廊下にともひろ君。

ともひろ :
「のぞむか。
さっきもトイレ行った？
具合悪いの？」

のぞむ :
「えぇーっと…」

ともひろ :
「のぞむ？」

のぞむ :
「…えっと…」

ともひろ :
「何、どうしたの」

のぞむ :
「…一昨日の夜さ、左上の詰め物取れちゃって…。
今日の夜ご飯のあとくらいからズキズキするの」

ともひろ :
「あら。大丈夫？
ご飯のあとからずっとしんどかったんだ。
薬は？」

のぞむ :
「持ってない」

ともひろ :
「あげるよ。待ってて」

携帯のライトで自分の荷物を照らしながらガサゴソと薬を探す。


「おまたせ。
はい、薬と水」

のぞむ :
「ありがとう。
…ねぇっ…あのさっ…」

ともひろ :
「言わないよ？」

のぞむ :
「え、」

ともひろ :
「旅行中は言わない。
でも帰ったらちゃんとお話しよう？」

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