7人兄弟の歯科物語4

-りゅうせい- ページ14

りゅうせい :
いてぇ…。
自分で言うのもあれだけど歯が痛くてちょっと機嫌も悪め。

「ねぇたかひろ君。
歯痛いから薬ちょーだい」

たかひろ :
「え？大丈夫？
りゅうせいが自分から言うなんて相当痛いの？
どこの歯？いつから？冷たいのとかもしみる？」

りゅうせい :
「…薬ちょーだい」

たかひろ :
「薬はあげるけど。
痛いの上？下？
見せてみ？」

りゅうせい :
「…ウザい」

たかひろ :
「えっ」

りゅうせいはその言葉を残してバタンとリビングのドアを閉めて自分の部屋に行ってしまった。

だいき :
「…はは。苦笑」

りゅうせいと、たかひろ君と3人でリビングにいたので俺は今たかひろ君と2人、気まずい時間が流れる。

たかひろ :
「…俺うざかった？」

だいき :
「んー…。ちょっと？笑
心配なのはわかるけど、りゅうせい機嫌悪そうだったし、元々歯医者嫌いなうえ、たかひろ君たちに見せるのも好きじゃないじゃん？」

たかひろ :
「…そっか。やっちゃった…
りゅうせいに嫌われたわ…」

だいき :
わかりやすく落ち込むたかひろ君。

「別に嫌いにはなってないと思うよ？
俺、薬渡してこよっか？」

たかひろ :
「お願いしていい…？
はい、これ薬」

だいき :
「ありがとう。渡してくるわ」



♪コンコン

だいき :
「りゅーせー。入っていー？」

りゅうせい :
「むり」

♪ガチャ

りゅうせい :
「ねぇ無理！」

だいき :
「ほい、これ薬と水」

りゅうせい :
「…」

だいき :
「ま、自分でわかってんでしょ？
ここ置いとくわ」


りゅうせい :
机に薬と水を置くとだいき君は出て行った。

わかってるよ…。
歯が痛くてたかひろ君に八つ当たりしたのも、心配で言ってくれたのも、治療しなきゃいけないのも。

だいき君からもらった薬を飲んで、しばらくベットの上でゴロゴロしていると薬が効いてきて、そのまま寝てしまった。

.


りゅうせい :
あれからたかひろ君は何も言ってこないけど、それが余計に気まずい。
だからわざと友達の家に泊まったりとか、たかひろ君と顔を合わせないような生活を送っていた。


たかひろ :
あの日からりゅうせいに避けられている俺。
のぞむとは喋ってるらしいけど、それ以外の兄弟も俺ほどではないがあまり話していないらしい。

歯医者に行ったのかとか、痛みはどうかとか聞きたいことはたくさんあるけど、俺からは聞くことができずにいた。

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