7人兄弟の歯科物語3

・ ページ27

レインボー歯科に到着すると、駐車場には見慣れた車が停まっていた。

あきと :
「お待たせ。じゅんた君もだいきもありがとう」

.

たかひろ :
中に入ってあきとと準備をしている間、ともひろは待合室でだいきにしがみついていた。

久しぶりのともひろのこんな姿にあたふたするだいきが面白くてにやけてしまったのは、じゅんた君もあきとも同じだと思う。笑


あきと :
「よーしレントゲン撮りに行こうね」

ともひろ :
「だいき君…」

.

あきと :
だいきにも来てもらって無事にレントゲンも撮り終えて、診察室に連れて行く。

たかひろ :
「おぉ…」
神経までいってるし。
レントゲンを見てこの先の治療を思うとため息がこぼれそうになる。

あきと :
「あちゃー。大変になるね」

たかひろ :
「…サポートよろしくな」

あきと :
「もちろん！」

.


たかひろ :
「ともひろお話するね？
右上にさ、昔治療した歯あるでしょ？
そこの歯が詰め物の下でまた虫歯できちゃったみたいなの」

ともひろ :
「…やだ…泣」

たかひろ :
「ここ、神経のところまで進んじゃったから神経の治療もさせてね」

レントゲンを見ながら説明すると、だいきにしがみついて泣き出したともひろ。

ともひろ :
「やだぁ…泣
神経の治療痛いからしない…！
だいき君…泣」

あきと :
俺たちが歯科医になる前に他の歯医者で一度だけ神経の治療をしたことがあるともひろは、だいきに抱きつきながら泣いていた。

ともひろ :
「…やぁだ。泣」

たかひろ :
「やだよなぁ。
なるべく早く終わらせるから、ともひろも頑張ろうな。
あーんして診せて」

ともひろ :
「痛いからやだ…泣」

たかひろ :
「うん、嫌だよな。
まだ何もしないから診せて？」

ともひろ :
「や…
しないの…泣」



あきと :
こんなやりとりを続けてもう30分が経とうとしていた。

じゅんた :
たかひろもあきとも、だいきも困り顔。
迷ったけど、少し厳しく言わないと無理かな。

「たかひろもあきとも、休みなのにわざわざ迎えに行って診てくれてるんだよ？
嫌なのわかるけど、そろそろわがままおしまいにしなさい」

ともひろ :
「…んー！泣
じゅんた君や。きらい…泣」

あきと :
「じゅんた君怒ったらやだよねぇ。笑
でも嫌いは、じゅんた君悲しいよ？」

ともひろ :
「…じゅんた君ごめんなさい…ごめんなさいっ」

じゅんた :
ともひろは謝りながら呼吸が荒くなってきてしまった。
今のともひろに厳しく言うのは逆効果だったと反省した。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す