7人兄弟の歯科物語3

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ともひろ :
涙を拭いて、俺の恩師でありオーディションや合宿の企画者である北川さんの部屋に向かった。

♪コンコン

北川 :
「はい」

ともひろ :
「失礼しま...
あっ…すみません」

部屋で北川さんが番組スタッフさんと打ち合わせをしているところだったのでドアを閉めようとしたとき…

北川 :
「とも？ちょっと待って」

ともひろ :
「へっ？」

北川 :
「すみません、ちょっと失礼します」

ともひろ :
北川さんは打ち合わせを一度止めて部屋を出てきてくれた。

北川 :
「どーした？
もしかして...歯痛い？」

ともひろ :
「え、なんで…」

北川 :
「だって、目も頬も赤いもん。笑」

ともひろ :
「あの…」

北川 :
「兄ちゃんとこだろ？
兄ちゃんはなんて？」

ともひろ :
さすが北川さん。
何も言わなくても全部わかっちゃうんだ。

北川さんと初めて会ったのは小学生の頃。
習い事のダンスの先生だった。
ダンスの迎えに兄ちゃんたちが来てくれていたこともあって、兄弟のことも、たかひろ君とあきと君が歯科医であることも、俺が虫歯になりやすいことも知ってくれている。

「帰っておいでって…。
あきと君が明日9時までに車で送ってあげるからって言ってくれました」

北川 :
「ほんと優しいよな^ ^
いいよ行っておいで。
なんなら明日休みでもいいけど？」

ともひろ :
「いやっそれは！明日もできます」

北川 :
「じゃあともは午後からな？
午前はみんな自主練にするから」

ともひろ :
「…すみません」

北川 :
「謝らなくていいから。
ほら、早く支度しておいで」

ともひろ :
「…ありがとうございます。
打ち合わせ中にすみませんでした」

北川 :
「気をつけてな。
なんかあったらメールだけ入れといて」

ともひろ :
「はい。ではすみません。失礼します」

.

北川さんに許可をもらって、兄ちゃんたちに会えると思ってホッとしたら痛みが増した気がして頭が働かない。
とりあえず財布と携帯をカバンに入れて、新幹線の通る駅までタクシーで向かった。


あきと :
待ち合わせの駅までは車で1時間半くらいかな。
家を出て30分くらい経ったとき携帯が鳴った。

「ごめん、メール見てくれない？」

たかひろ :
運転しているあきとに代わってメールを確認する。

「ともひろが19時には着きそうって」

あきと :
「道が混んでなければ同じくらいかな」

たかひろ :
「あ、またともひろから来た。
痛くてしんどい…って」

あきと :
「治療、いろいろ覚悟しておかないとかもね」

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