7人兄弟の歯科物語

-りゅうせい(リク)- ページ26

りゅうせい :
俺はアパレル業をしている。最近は大感謝祭でとても忙しい。帰宅後ソファーで朝を迎えるなんてこともしょっちゅう。そう、歯も磨かずに…。
こんなのあきと君にバレたら怒られるだろうな。たかひろ君は「磨いてあげようか？」とでも言いそうだ。
兄ちゃんたちに口を見せるなんてありえない。だって恥ずかしくない？

そんな俺が歯の異変を感じたのは大感謝祭も終わり間近の頃。
仕事が落ち着いたら、どっか探して歯医者に行こうと思っていたが、寝るのが大好きな俺は仕事が落ち着いたら今までの寝不足を取り戻すかのように眠る日々。
歯医者に行くくらいなら寝たい。
そんな生活を続ければまたすぐやってくるセールの時期。
この頃は前歯にも歯磨きで落ちない黒い汚れが目立つようになった。
だがマスク生活により誰にも指摘されないし、セールの期間は朝早いか夜遅いかの生活をしていたので家族にもバレてはいなかった。

.

じゅんた :
「またソファで寝てるよ。
りゅうせい？ベッドで寝な？おーい？」

りゅうせい :
「(-_-)zzz」

じゅんた :
全然起きない…。ブランケットかけてあげるか。
りゅうせいにブランケットをかけようとしたときポカーッとあいてる口の隙間からりゅうせいの前歯が目に入る。
(え？これ虫歯、、、？自分の歯じゃないのに俺はドキドキが止まらない。
え、どうしよう。いや、落ち着け。海苔…なわけないよな。歯科医ではないが流石の俺でも海苔じゃないことはわかる)

あきと :
(おなかすいた…)
なんか食べようとキッチンに向かおうとリビングのドアをあける。

♪ガチャ

じゅんた :
「うわぁぁ！！！」

あきと :
「わーーっ！なにっ？」

じゅんた :
「びっくりしたぁ！」

あきと :
「いやびっくりしたのこっち」

じゅんた :
「あきとか、ごめん...笑」

あきと :
「いやいいけど。
あ、りゅうせいまたソファーで寝てるの？」

じゅんた :
「あきと…これ虫歯？」

あきと :
「ん？」

じゅんた君の指差す先はりゅうせいの口元。
唇をめくり確認すると、右上1番と2番の間からやられてる。そのまま顎を下げて奥歯も見ていく。

「じゅんた君ライト」

じゅんた :
「っはい！」
あきとの低いトーンに慌てて携帯のライトでりゅうせいの口元を照らす。
人の歯ってこんなになるのかと思うくらいいろんなところが黒くて、かなりひどいことは俺にもわかった。

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