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たかひろ :
「うーん…ちょっと待ってね」
だいき :
そう言って隣に行ったたかひろ君。
すぐに「たかひろ先生ー♪」なんて声も聞こえる。
たかひろ :
「お待たせ。
こちら先月から一緒に働いてる中岡先生。
会うの初めてだよな」
だいき :
(ペコリ)
たかひろ :
「…今日は中岡先生にお願いするよ？
ほんとにいいの？
アシストでもう1人くるよ？」
だいき :
「…お願いします」
たかひろ :
「じゃあ隣にいるから何かあれば言って。
…だいき、いい？無理はしないこと。
約束して」
だいき :
「んっ…1個だけ…わがままいい？
…ともひろ呼んで」
たかひろ :
「わがままじゃないよ。
呼んでくるな」
.
ともひろ :
たかひろ君から「急患の子の方に入る事になったからだいきのそばに居てやって」って言われて、診察室に入ると、麻酔が打たれているところだった。
全身に力を入れて手の甲をつねっている。
痛いのか、怖いのか。
手を握ってあげようかとも迷ったけど他の先生だし恥ずかしいかなと思ってとりあえず付き添い用の椅子に座った。
歯科医 :
「もう一回チクッとしますね」
だいき :
(ビクッ)
ともひろ :
絶対痛いじゃん。
顎引いてるし…
歯科医 :
「では起こしますね。
よくうがいしてください」
ともひろ :
「大丈夫？」と声をかければ先生が席を外したタイミングで「やばい、ちょー痛かった…」と。
なんて言おうか迷っていると先生が戻ってきてしまったので何も言えずに治療が始まった。
「では削っていきますね。
何かあれば左手で教えてください」
"キュイーン
だいき :
いつもはあきと君に診てもらっているから、さっきはたかひろ君でもちょっとだけ緊張してたんだけど、やっぱりたかひろ君がよかったなぁと、男の子に譲ったことを後悔する。
タオルをかけられて何も見えないから先生はたかひろ君。と思い込もうとしたんだけど…。
痛すぎてそれどころでない。
全然声もかけてくれないし不安になる。
俺も男の子みたいに泣きたい。
「んっ…」
痛い痛い！
手の甲はつねりすぎてアザ出来そう。
一度椅子が起こされたタイミングでまた先生がどこかへ行ってしまったのですぐにともひろに助けを求める。
「痛くてもう無理なんだけど…(涙目)」
ともひろ :
「左手あげなよ」
だいき :
「できない」
ともひろ :
「我慢できるの？」
だいき :
「だって…
…言えないもん」
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作者名：Tii | 作成日時：2023年11月13日 22時
