水で溺れ戀してしまった【free】 (ページ10)

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story 9．溶けていく秘密② ページ10

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｢異常なしだよ、何処か身体痛む？｣

私の兄は医師を継いでいる

元は全国レベルに達する水泳選手だった人だ

『云え、大丈夫です』

｢最近水泳関連で身体を痛める人が増えてね、
限界を越えてしまうと支障が出ちゃうからね｣

『肝に銘じておきます』

｢あ、早々さっきの男の子も確か鮫柄のジャージだったけど……｣

見覚えのある表現にキョトンと目を凍らす

『その人がどう為さったんですか？』

｢個人の情報は本当は言っちゃいけないけど
さっきの患者さん、肩を痛めていてね
安静にしてと忠告したんだけど…｣

『…___________其れって…、』

｢泳ぎたいからって言う事聞かなくて、
確かAちゃん鮫柄の水泳部だよね？彼にもう一度
〝それ以上痛めると泳げなくなる〟って言ってもらえるかな？｣

『だからちゃん付けは……いや、その患者さん

〝山崎宗介〟でいいのよね？』

兄はカルテをペラペラと見つめて頷く

『判った…お兄様ありがとう』

彼の秘密の鍵を握った彼女は

宙に浮いたまま学園に戻る

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涼し気な森は風に乗って揺れる

『…________(もうこんな時間か…)』

慌てて寮へと戻る途中

話し声が聞こえた

彼女は木の後ろに隠れてそっと覗く

『…(凛と、山崎宗介…くん)』

入れる場所等ない二人だけの空間が

身体に痺れ渡る

宗介｢凛、俺もリレーがしたい｣

凛｢…宗介…でもお前リレーは…｣

宗介の手は力強く握る

凛｢……｣

宗介｢あの時の約束！言うことなんでも聞いてくれる約束だろ？！｣

二人の目は潤む

二人にしか判らない考えが

凛｢幾ら約束でもそれは無理だ…決めるのは俺じゃねぇタイムだ｣

宗介｢っだよな…｣

凛｢卦度、本気でリレーがやりてぇなら実力で
メンバーの座を取れ｣

宗介｢つまりお前に勝てばメドレーでバッタが泳げるわけか…だったら勝負しようぜ｣

凛｢…嗚呼、い…_________｣

『ﾊｯｸｼｮﾝ…しまっ』

凛｢誰だ？｣

彼女は木の影からそっと申し訳なさそうに現れる

凛｢A？お前なんで此処に｣

『その勝負の見届け人になってあげようかと』