水で溺れ戀してしまった【free】 (ページ31)

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story 30．笑顔救出作戦⑧ ページ31

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満月の光が硝子を通して真っ暗な部屋を照らす

椅子に座って紅茶を飲む

『……肩、みせて』

紅茶を一口飲みながら冷静に告げる

宗介｢…あ？断る｣

『今日だって私をおぶったのは貴方、
痛みはある筈よ、其れに私は医者の娘…
多少は頼りになると思うから』

宗介｢痛みはねぇ…普通だ、｣

『ずっと助けてもらってばかりいて
私のプライドが許さないのよ、はやく』

嫌々な表情をしながら彼は上の服を脱ぐ

彼女は肩を見つめて目を細める

この間より腫れが酷くなっている

『…痛みは和らげとくけど、少し痛むわよ』

スプレーを肩にかける

彼は痛そうに眉を顰める

宗介｢…ｯ…、｣

『凛にこの事言わないの？』

宗介｢嗚呼、言わねぇ…知られたくもない｣

『卦度、本番隠し通すって理由にもいかないでしょ、どうせ見られるし…』

何故か彼女は悲しそうに彼を見つめる

青い瞳はとても寂しく

宗介｢…_________はぁ……そんな顔すんなよ｣

『宗介君これは最後の忠告よ、これ以上肩に負担を掛けるともう凛達と泳げなくなる可能性だってある…』

彼の目は覚悟していた

宗介｢其れでも、彼奴らと泳ぎたい
それで俺の夢が叶うなら…ん｣

すると彼は立ち上がって棚の方へと向かう

『あ…_______________。』

そこには数々のトロフィーやメダルに賞状

金色に眩しく輝く優勝の証

そして彼女が満面の笑みで写る写真

宗介｢……こんなに勝ってたのか｣

『昔の事よ、色んな種目を片っ端から1位を取って
もう既に私に勝つ者は居なかった』

過去の記憶が頭に張り巡らされる

宗介｢如何する…お前は泳ぐのか泳がないのか｣

『判らない……、まだ私には判らない…』

手の震えが止まらないのか彼女は腕を掴む

宗介｢…俺はお前にきっかけを与える事しか出来ない。変わるのはお前自身だ｣

『知ってるわよ……そんな事』

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彼女は何処の道へ向かえばいいか

何処に辿り着くのか

今も彷徨っていた

『…__________私の夢』