13 story_あなたを知りたくて ページ14
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カーテンの隙間から差し込む暖かな日差し
ゆっくりと私は目を開く。
彼の腕の中は温かくてすぐ眠りに落ちてしまったようだ。
鼻に伝う珈琲の香り。
布団から脱出し、リビングへ向かうと。テーブルには一人分の朝食が置かれていた。
彼が用意してくれたものだ。
「おはよう、俺はもう仕事に行く。何かあったら電話してくれ、」
レイはネクタイを上までキッチリ上げて、鞄を持つ。
玄関へ向かう彼を追い掛ける。
「見送りか?」
『レイ、ちょっと屈んで』
ほいほいと手で屈めとジェスチャーして、彼はなんだ。と疑問に満ちた表情で膝を曲げる。
同じ背丈になったところで、彼の肩に手を添えて、頬にキスを施した。
所謂、いってらっしゃいのチューだ。
『お仕事、頑張って』
彼は優しく微笑んで、私の頭に軽くキスをした。
「ああ、行ってくる。」
扉が閉めきるまで手を振って見届けた。
一人になった途端、身体の力が抜けて壁に寄りかかる。
『…なにこれ、新婚さんみたいだよ…』
自分から始めたことなのに、急に恥ずかしくなってくる。
レイのあんなおっとりした微笑み初めてみたかもしれない。
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看護師1「レイ先生、今日はご機嫌なのかしら」
看護師2「朝から表情が穏やかだわ」
冷酷のごとく表情を変えない彼、そんな彼が口を綻んだ状態で書類を見ていた。何時もなら頑なに睨めっこしているのに。ちょっぴり病院内はザワついていた。
レイ「(悪くない__________)」
朝の出来事を思い出して、つい笑みが溢れてしまう。
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『よし、こんなもんかな。』
レイが帰ってくる前に夕食の仕込みを済ませた。
今日はハンバーグだ。
時刻は夕方。この時間は帰宅ラッシュだが、医者であるレイは
そうそう夕方に帰ってくることは無い。多忙な身であるから。
軽く掃除しようにも、ほんといつ掃除してるか分からないくらい綺麗で、手の施しようがないし、何より物が少ないから片付けるものもない。出来ることとしたら、本の虫干しくらいだろうか。
書斎には幾つものの本がズラリと並べられていた。
医学に関する分厚い本で、私には理解できないものばかりだった。
『これだけ、鍵付だ……』
頑丈に施錠された本。
だから余計に中身が気になるが、私はそっと本棚に戻した。
『勝手に見るの良くないよね』
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KIRAHIKAKOKORO(プロフ) - 新しいお話、最高😆😆化鮎さん✞(*´˛`*)✞神だわ (4月3日 15時) (レス) @page16 id: 2c863513fd (このIDを非表示/違反報告)
化鮎(プロフ) - KIRAHIKAKOKOROさん» 読んで下さりありがとうございます。とても嬉しいです。更新頑張りますのでよろしくお願いいたします! (4月3日 11時) (レス) id: c4c0aa5ccc (このIDを非表示/違反報告)
KIRAHIKAKOKORO(プロフ) - 化鮎様『恋と深空 レイ』小説、大好きです。続きを読みたいのでヨロシクお願い致します🙇♂️ (3月31日 22時) (レス) id: 2c863513fd (このIDを非表示/違反報告)
化鮎(プロフ) - にょんさん» 嬉しいですт_тありがとうございます!!! (2月15日 9時) (レス) id: 0a7cb3211d (このIDを非表示/違反報告)
化鮎(プロフ) - mjさん» わぁこちらこそ読んでくださってありがとうございますт_т♡ (2月15日 9時) (レス) id: 0a7cb3211d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アユミ | 作成日時:2024年2月6日 15時