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返り血を洗い流し、椿香りの洗髪で腥さを解放させる
水に濡れている時は、心がこう……ぽっかりと空いた
ように、
脱衣場にはシンプルな寝間着が置かれ
そっと手に取り着る
風呂上がりには、紺炉から夕食の誘いを受けたが
私は首を振り断り、二階の寝室に閉じ篭る。
『_______________…………に……、さん』
既に用意されていた布団の上に座り
夜風に当たりながら、月を眺める
この落ち着いた浅草の空気は私も兄も好きだった
だけど今は、物凄く苦しい
色んなことを考えていると、余計に胸が締め付けるように
痛くなる。
_____________……死んだら兄さんに会える
そんな事を考えていたら、咄嗟に両手で首を押さえつけていた
自分でも分からない、何をしてるのかと
でも否定はできない
こんな震えた手で、今日死ねる、のか
と、思った矢先に彼は襖を開け、部屋の中へと入る
紅丸「……お前が飯食わねぇって言うから、紺炉が寂しそうにして…………な、にやって……」
『あ…………紅…………違う の……』
彼は一驚を喫し、慌てて私の元へ駆け付け
首から両手を離した
紅丸「…………」
紅丸は座り込み
彼は顔を下げ、言葉を発さなかった
普通なら怒鳴りつけ、説教を与えるのに
今は前髪が邪魔をして顔がよく見えない
『…紅…………?』
紅丸「……もうこんな事するな……一人でこんな事するな……」
声が頼りなく、震えていた
「……お前が普通に生きてくれれば、俺はもう何も言わねぇよ……別に俺をずっと憎んでてもいい、浅草に戻らなくてもいい……身を隠してでもいい……だからこんな事はもうするな……頼む、から……」
鼻を啜る音がして、私は思わず紅丸の腕に触れる
雲に隠れていた月明かりが彼を照らす
彼は泣いていた_______
『紅、泣いているの……?
如何して、貴方が泣くの?もしかして私の為に
泣いているの?』
「……るせぇ……よ」
兄を失い、そして私は彼を追い詰めてしまった
濡れ衣を着せられた、可哀想な彼
それでも彼は私を助け、そして涙までを零している
こんな時に彼はいつも私にああ、していた
『……。』
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あおり(プロフ) - 化学的酸素要求量さん» please.更新!!がんばってください! (2020年11月25日 17時) (レス) id: a183b3bfa3 (このIDを非表示/違反報告)
化学的酸素要求量(プロフ) - あおりさん» 全然大丈夫ですよ!ちょっと分かりにくいですよね笑私も最初そうでした!気にしないでください! (2020年11月16日 20時) (レス) id: ca4637bf7d (このIDを非表示/違反報告)
化学的酸素要求量(プロフ) - ノアさん» 読んでくださってありがとうございます!更新頻度落ちてしまってごめんなさい、、更新頑張ります! (2020年11月16日 20時) (レス) id: ca4637bf7d (このIDを非表示/違反報告)
あおり(プロフ) - 化学的酸素要求量さん» あおりです。ごめんなさい、レスのやり方わかりました…すみません\(_ _) (2020年11月16日 19時) (レス) id: a183b3bfa3 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - すごい面白いです!更新これからもがんばってください! (2020年11月13日 21時) (レス) id: 446b9f453e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆみ | 作成日時:2020年9月2日 23時