[柊深夜] 血を拭いていては~彼岸~ (ページ6)

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story 53．ページ6

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暮人｢……後、これは俺の独断だが一度だけ会うことを許可してやる、最期の挨拶をするといい｣

最期(・・)、という言葉に改めて現実に引き戻される一瀬グレンは、檻に閉じ込められている父の元へ駆け寄った。

グレン｢……親父すまない……俺は親父を救えなかった｣

優しい父の手はグレンの頭を撫でる。その優しが脳から全身に伝わり、涙が頬を伝って零れる。

父｢俺は幸せだと感じてる、なんだってお前を残せたからな。俺が死んだら今日からお前が一瀬家の当主だ｣

グレン｢……俺にはできない｣

父｢できる、何でもできる。だから常にお前が正しいと思うことをしろ｣

父と息子の最期の会話はとても儚く短いものだった。
兵が介入し、処刑の時間となった。グレンは己が何も出来ない悔しさに葛藤していた。それでいて父は最後までグレンを強く抱き締めて、愛情を贈った。

父｢笑えグレン、お前が今日から帝ノ月を率いるんだぞ！｣

グレン｢親父！俺も……親父の子に生まれたことを誇りに思ってる！！｣

それが何もかも最期だった。仏のような父の笑顔は。

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『そこを退け』

処刑場に連れていく途中で、銀の華は現れた
兵達は彼女の登場に敬礼をする

『聞こえなかったのか、そこを退け』

｢あの……いやしかし｣

『処刑まで10分ほど残っている、命令を聞けないのなら貴様らの首を斬る』

と脅し、兵は慌ててこの場から立ち去った。

栄｢一体どいう風の吹き回しでしょうか月詠A様｣

『私と会話するなら、息子と話してたいか』

栄｢いえ、情けは不必要ですので｣

『私は柊家との同盟を切るつもりです、父も死にましたし』

栄｢殺したのですか？｣

勘の良さに、少し驚いたが。まぁ無理もない。父の死を淡々と告げる者などそうそういない。

『嗚呼、父が憎かったのでね。だからあなたと一瀬グレンの間にある親子の絆が少し面白くて見物させてもらいました』

栄｢貴方は肝が据わりすぎています。まだ17歳だというのに、何を企みですか？｣

『既に歯車は回っています、世界が一変する歯車』

栄｢歯車？｣

『勘、ですけど。この先一瀬グレンが大きく関わると感じています。一瀬栄殿、私は＿＿＿＿＿＿』

こそこそと栄の耳元である情報を伝える。

すると栄は眼を大きく開き、言葉を失った

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更新大変遅くなりました。ずみまぜん