【レトルト】START【実況者】 (ページ4)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:9,279 hit

002　レトルト　「よろしくな」ページ4

今は、キヨくんの家の前。
キヨくんの家は、ここらの背の高いマンションの10階に住んでいる。

ピンポーン

「はーい」

ドアが開いた、と思ったら、キヨくんじゃない人が出てきた。

「あ、もしかして、レトルトさん？」

女の人の声、女性の姿。そして、特徴的な黒髪。

「あ、そうです」
「中どうぞ。今、キヨは手はなせないから」

中に案内される。
その人の姿は、そこらの女子よりも可愛い。
白い肌で、細身。

「やっほー、レトさん」
「こんちわ」

中に居たキヨくんはゲームをしていた。
なんか、ラスボスっぽいのと戦っている様子で、画面に顔を向けたまま。

「じゃ、自己紹介」
「あ、俺から？」
「当たり前やろ」

その二人は軽く会話をしてる。
…中身筒抜けやで。

「俺、アークエンジェル。本名は、早乙女琉麻。
　気軽に、琉麻って呼んでいい。あ、大天使様でも良いけど」
「じゃあ、琉麻で。
　俺は、レトルト。本名は桜井怜」
「怜、ね。よろしくな」

アークエンジェル。
確かに、それは本当だ。

琉麻は、大百科に書いてあるように、ふざけた口調だ。
女の声してるのに、男口調。

「ねー、キヨ。怜をよんで何したいの？」
「しゃ！終わった！
　え？レトさんが、話したいって言ってたから」
「何々ー？俺ってそんなに人気なの？」

にんまりした顔で、俺を嘗め回すように見てくる。

「なに？俺と何はなしたいの？」
「…まあ」

話が思いつかない。
一体何を話せばいいんだろう。
さっきまでの、お花畑な心はどこかに消えてしまった。

「あ、じゃあさ、今度俺と実況やらない？」
「え、いいんですか！」
「うん」

嘘やろ！？
こんな人と実況を一緒に出来るなんて。

「ユメ、って思ってるでしょ」
「えっ」
「ははっ。おもろいわ、考えとること結構顔に出るタイプだろ」

見透かされたらしい。
…この人、読心術でも持ってるんちゃうんやろか。