039 レトルト 「２周年」 ページ40
月日、というものは、自分が気付かないうちにすぎるものだと思う。
ほら、今だって。
「怜、おいで」
今日は朝から、琉麻が俺たちの前に姿を出さない、と思ったら、キッチンに立っていた。
はて、何をしているんだろう、とだけ思っていたけど。
「キヨ、やるから」
「あ、あれね」
にやり、と何かを企んだ顔をすると、キヨは立ち上がり、琉麻の手伝いを始めた。
…なにするんだろう。
されるがまま、琉麻に手を引かれてテーブルに座ると、キヨが失礼、と言って俺に目隠しをした。
しばらくの間、何が起こっているかわからないが、キヨを琉麻がけったようだ。
むぅ、何してるんだ。
「よし、オッケー！」
ぜんっぜん、宜しくないです！
「怜、ごめんねー」
「…許さへんで」
「わっ、ごめん」
するする、と音を立てて目隠しが外されると、目の前には「出会って２周年！」
そして、テーブルが見えると、手作りと思うケーキが1ホールある。
「早いねぇ、もう二年だよ」
ニコニコと笑う琉麻はいつになく、頬が緩みきっている。
隣のキヨは、琉麻をドン引きしてる。
「はい、これ。俺からのささやかなプレゼント。
まあ…、付き合って一年って言う記念も兼ねて」
「俺からも。ちなみに三人でお揃いのストラップ」
二人からのプレゼントを受け取る。
琉麻はなにやらネックレスのようで、キヨのは可愛らしいクマのストラップ。
「さぁ、怜。君はどんな反応をする？」
首をかしげた琉麻。単純に可愛い。
「…あ、ありがとう」
恥ずかしくて、うつむいてしまった。
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作者名：みけ | 作成日時：2015年7月26日 21時
