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隊員は私を見ると恐ろしいものを見たような表情をする。それこそ鬼を目の当たりにしたみたいに。
だがそれも慣れてしまったし、そうさせてしまっているのは私自身だと自覚済みだ。

「お、おはようございます、鋼柱様…!」

「うん、おはよう、今日は曇りかな?じめっぽい、雨が降りそうだね。死体の管理お願い出来る?腐っちゃう」

「は、はい!」


鋼柱は父から受け継いだ。
姉や兄は戦死、弱かったからだと言えればそれはそれで楽だが。私は運悪く生き残ってしまった、運悪く私は強かった、運悪く憎き父を継いでしまった。

鋼の呼吸とは簡単に言ってしまえばめちゃくちゃ硬くなる。鋼だから。そして重い、これも鋼だから。

重ければ日輪刀を振りかざした時の遠心力も大きくなる。となれば基礎となる体力はもちろん筋力もつけねばならない。音柱のようにムキムキしてはいないにせよ、恋柱や蟲柱よりは華奢ではない。


さて、話は変わるが、死体とはなんなの事かと気になるはずだ。簡単に言ってしまえば私が実験で使う野生動物の死体だ。なかでも牛が特に多い。牛は人間の遺伝子と80%近く同じと言われている。ならば人間に対する薬などを作るにはもってこいだ。

本当は鬼の死体も取り入れたいが、鬼は頸を斬れば消えてしまうし、かといって四肢をもぎ取り対策をした上で実験を行うのはお館様はもちろんのことほかの柱にも怒られるだろう。

だから私は渋々ながら寿命を迎え旅立ってしまった動物を引き取りそれらを使って医学等の進歩をめざしている。ぶっちゃけ鬼殺隊は辞めたい。



と、いう理由から私は隊士に恐れられている、のだと思う。これと言った確信はないので憶測でしか物は言えないが。

すれ違う隊士が私を避けつつもきちんと挨拶をして通り過ぎていく様子はすごく可愛らしい、健気だと思う。別にとって食いはしないのに




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作者名:椿 | 作成日時:2020年1月24日 23時

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