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もう1人の転生者 ページ12

雫side

雫「はぁっ、はぁっ、、、」

まただ。"僕"、いや"俺"はまた家族を失うのか?

「お兄ちゃん」

頼む、これ以上俺から大切な人を奪わないでくれよ。どうして、自分ばかり。


ワールドトリガー。俺が好きだった漫画。昔から機械オタクの俺は、ワールドトリガーに出てくるトリガーの内容に興味津々だった。まぁ、それを無しとしても漫画、アニメ自体最高だった。
そんな俺には、仲の良い妹、俺の良き理解者として支えてくれた両親がいた。妹は、俗に言う腐女子であり、そんな妹の影響で俺も腐男子として、充実した日々を送っていた。けれど、幸せは長く続かなかった。
無差別放火犯により、我が家は火を放たれた。
父さんと母さんが命をかけて、俺と妹を外に出してくれたおかげで、命は助かった。けど、そのせいで両親は亡くなった。2人の焼ける音、匂い、熱気。妹を壊すには十分の出来事だった。

妹「お兄ちゃん、さよなら」

妹は、父さん達のことがトラウマとなり、精神的にも身体的にも疲弊していった。見るに耐えない姿を見て、俺はよく泣いていた。両親はもういない。他に頼れる大人がいない。どうすることも出来ないまま、妹は衰弱していって、最期は亡くなった。


気づいたら、"俺"は"僕"だった。
僕は友達に恵まれ、家族と仲良しで、運動神経抜群、頭脳明晰。非の打ち所がない人だった。そして、僕はまた兄になっていた。

妹「お兄ちゃん〜!」

もっと早く記憶が戻っていれば、妹は死なずに済んだかもしれない。
第一大規模侵攻のとき、僕は学校から帰る途中だった。けど、いきなり白い化け物にでてきて必死に家まで逃げた。でも、家は全壊。僕の帰りを待っているはずの家族は、みんな死んでいた。

雫「お父さん、お母さん?


  碧?」

両親は原型を留めてないほど、ぐちゃぐちゃで。生臭い匂いだけが、2人の結婚指輪だけが、残っていた。
妹の(あお)は、心臓を抉り取られて亡くなっていた。碧の近くにはランドセルが放り投げられていて、靴下のまま外に出ようとしていた。きっと、碧は逃げようとしてたんだ。僕がもっと早く帰っていれば、碧は生きれたかもしれない。



その時、"俺"と"僕"の妹が重なって見えた。僕は俺のことを思い出した。そして、此処がワールドトリガーの世界だということに気づいた。


全てに絶望して、ボーダーに入隊した。そこで、俺は見つけてしまった。俺と同じ転生者で、妹と瓜二つの少女を。

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作者名:犬塚みかこ | 作成日時:2022年10月16日 1時

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