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私はまた記憶から覚めた。やけに暗いその場所は、おそらくどこかの地下なのだろう。
本棚や、机にクローゼットなど最低限のものが私の周囲に整えられており、クローゼットの中にはシンプルな服が入っていた。
私は机に置いていたコップの水を飲んだ。
「バレット……」
そう呼んでも、彼はどこにも居ない。
私はある違和感に気づいた。"覇気が全く使えない"。
力を失った、つまり多くの人の記憶から私が消えた事になる。覇気もろくに使えない私なんて、まるで人間のようだ。
そんな事を考えていると部屋のドアが開いた。
重量感があり、ギギギと音を立てる。
バレット「起きたか。」
貴「おはよ、バレット。あれから何年経ったの？」
私はいつものように笑顔で彼に聞いた。それだと言うのに、彼はどうにも悲しそうな顔をしていた。私の力が弱っているのがわかったのだろうか。
不甲斐ない、私は心底そう思った。
バレット「2年くらいだ。調子はどうだ？」
貴「大丈夫よ、また短かったのね。」
バレットはそう言うと、私を手に乗せていつものように私を観察していた。前と同じ事をしているその姿がとても愛らしい。
私は思わず笑ってしまった。
ﾊﾞﾚｯﾄ「何がおかしい。」
貴「知らない間に随分心配性になったのね。」
ﾊﾞﾚｯﾄ「んな事はねぇ。それよりまた軽くなったんじゃねぇか？」
貴「あら、まるでロジャーみたいな事を言うのね。」
私がそう言うとバレットはすごく不愉快そうな顔をしていた。けれど、決して嫌とは言わないのが彼らしい。
バレットの服に視線を落とすと、そこに知らない海賊旗が刺繍されていた。
貴「バレット、その服…」
私がそう言うと、バレットは私が眠っていた間の事を話してくれた。
彼は夢の為に、海賊団の船長で"祭り屋"と称される海賊ブエナ・フェスタと手を組む事になったらしい。だから、彼はそのフェスタとかいう男の海賊旗を纏っていたという。
私はどうにも悪い予感がした。
バレット「お前はこっちの服を着てろ。」
バレットがそう言って渡してきたのは、昔ロジャーの船にいた時に着ていた服と似ているものだった。
私の故郷、ディールークルムで作られた服だ。
貴「あぁ、懐かしいわ。ありがとう、バレット。」
私は思わず服を抱きしめた。
肌に馴染む生地、もうどこにもないと思っていたのに。
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楸(プロフ) - 凪さん» コメント有難う御座います。この作品に出会えた事を感謝を。本来は解説をつけずとも分かりやすい文章であるべきなのですが、私の語彙力や文章力が足りず解説をつける事となってしまったので、そう言っていただけてとても嬉しいです！ご愛読有難う御座いました！ (2022年9月24日 9時) (
レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - コメント失礼します。一言で言ってしまうとすごくすごくすごく面白かったです！なんというかいい意味で不思議な感じでした！最後の解説を読んでこんなにも深かったのかとびっくりしました！素敵な作品に出会えて嬉しかったです！！ (2022年9月19日 0時) (レス) @page41 id: 13224a6886 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 夏さん» ありがとうございます!!フィルムレッドは検討してみますが、バレットオチは見てみてください。これ以上言えねぇんだ！更新頑張ります!!作者。 (2022年9月10日 12時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - Sさん» ありがとうこざいます！バレットは生き残ってると思いますね。CP0や海軍は彼女を優先すると思うので。オチは…実は初めの方で決まってたんですよね。これ以上はいえねぇんだ！！作者より。 (2022年9月10日 11時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
夏 - この作品面白くて好きです！いつかフィルムレッド編もやってほしいです。自分もオチはバレット希望します！更新頑張ってください、応援しています！ (2022年9月8日 21時) (レス) id: 0a3c517d7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2022年8月20日 19時
