エピローグ ページ42
数年後 シャボンディ諸島
「待ちなさい!!」
「いーやーだ!!このへんたいくそジジイ!!」
白髪の老けた男に追いかけ回されている幼女が一人。
凄まじい速度で逃げていた。子供ながらに覇気を纏うその姿はまさしく圧巻と言うに相応しかった。そして、急にスピードを上げた白髪老人に捕まりかけたその瞬間、幼女と老人の凄まじい覇気がぶつかりあった。
「何故、服を着るのを嫌がるんだ!!」
「レイリーがそんなフリフリばっかもってくるからだろーが死ねロリコン!!私はぜったい着ない！」
そう言って騒ぐ不思議な光景を見た人が何人もいた。
その幼女は"世界一の音楽家"と同じ名前ということで、巷では少し有名だった。ただ、少し違ったのは彼女の髪や目の色は
「こんな幼子になんて仕打ちだ、ろくでなし！」
レイリーと呼ばれた男が暴れる幼女を担ぎながら、楽しそうに歩いている。その幼女は、不貞腐れながらも笑っているレイリーを見て笑っていた。
レイリーは少し髭を触りながら言った。
「女の子ならもう少し言葉遣いに気をつけなさい。年寄りくさい喋り方になってるぞ、ルベウス。」
「私はもうルベウスじゃない！」
意地悪そうに言う老人に、また不貞腐れた顔をした。
けれど、どこからが聞こえてくる新時代の歌声に彼女は少し笑って、青い海とそれを照らす太陽を見て言った。
「今はただのAよ。」
そう言った彼女は安心したように笑った。
・
世はまさに大海賊時代＿＿＿
ロジャーが創った時代が次の世代へと受け継がける。
もう夢に見ることもない、あの輝かしい日々と共に。
「A、お前は絶対世界一の音楽家になれよ。」
彼が言ったのは、彼が初めて私に会った時に言った言葉だった。それがあの時の私の"夢"だった。
「当たり前でしょ、てかなんでロジャーが嬉しそうなのよ。」
「俺はお前の歌が好きだからな！」
もう繰り返す事の無い永遠の日々に別れを告げ、私は新しい人生を歩み出す。
「A、あの時の"約束"忘れんなよ。」
「ふふっ、忘れないわよ。」
「船長命令だからな！」
「分かってる、私は絶対"世界一の音楽家"になるわ。」
……To be continued
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作者名：楸 | 作成日時：2022年10月5日 20時
