ロジャー海賊団の音楽家 (ページ39)

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ついた時には、ウタはもう限界を迎えていた。麦わら帽子の彼の心臓にナイフを落とす所だった。

だが、結果助かったのは彼の運命だろう。

ウタ「シャンクス……」

私はシャンクスとウタをただ見守っていた。

私が関与していい流れでは無い。
それは私の持つべき役割とは違う。

そう思い見ていたその時だった。
トットムジカが彼女を乗っ取ってしまった。

貴「ウタ!!」

私が走ろうとした瞬間、何かに縛られたかのように身体が突然動けなくなった。制約が存在するなんて面倒な種族ね。

みんなが必死に走っているのに、必死に戦っているのに、私には見ている事しか出来ない。あぁ、この運命が憎らしい、恨めしい。なんで私はみんなの所に行けないのだろう。

私も、私もみんなと同じ場所に行きたいだけなのに。

貴「なんでなんでなんで、クソ野郎!!私の運命を散々弄んでおいて、大切な人まで奪っておいて、まだ奪うつもりか。まだ足りないのか。何が神だ。私の友人をこれ以上弄ぶな!!」

動け、動けよ。何度だって乗り越えて来た。

一発でいい、私が手助けしないと。

力を貸してちょうだい、ロジャー。

『A、いいか。お前はなんにだってなれる。だから、前だけ見て進め。お前の後はオレが何とかしてやる。』

『ふふっ、ありがとロジャー。』

今思えば走馬灯だったのだろうか。

これがロジャーを思い出した最後の記憶になった。

「神避(かむさり)」

私の放った技はシャンクスの技に乗せられるようにして、トットムジカに当たった。そして、その残骸が消えゆく中で、ウタを見つけた。

そっと落ちるのをシャンクスが抱きとめた。

そして、目が覚めるかと思った周囲の人間達は未だに目を覚まさず眠ったままウタの指示もなく戦い続けていた。

ウタ「やめて……みんな、もう……」

そう彼女が言うのが聞こえた。

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ウタside

私が能力を制御できてない。

だから、みんな止まってくれないだ。
みんなを助けないと、歌わないと。
今度こそ、私がみんなを助けないと。

私はホンゴウさんがくれた解毒剤を振り払った。

「歌わないと……私は"赤髪海賊団の音楽家" ウタだよ。」

そうだ、だって私は音楽家なんだから。

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