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グーくんとは長い付き合いだ。こんなところで丸焦げになって食べる事になったら夢見が悪い。
それに私はロジャー以外誰にも負けたくない。
ちょっと大人気ないけど仕方ないわよね。
だって、負けたくないんだもの。
貴「空間干渉 "
私は手を前に出し亜空間へ電撃を流した。ポカンとした彼の顔がよく見えた。私はそんな彼に近づいて剣の柄で小突いてみた。
貴「はい、私の勝ちね。」
ﾗｲﾑ「は…、はぁ?!俺はまだ勝負は着いてねぇ!!それに…」
そう言ってた彼はまだ怒りが静まりきってない。だから私は彼を海水に叩き落とした。私はその後を追いかけるように海の中へと入っていった。
深い海の中で、彼と初めて目が合った。
そして、近くにいたグーくんの背に移動した。船にはコーティングが施されており、私は彼を私たちの船に押し込んだ。
貴「ナイスタイミングよ、グーくん。」
そう言うとグーくんは嬉しそうだ声で笑った。ライムは思ったより水を吸い込んだようで苦しそうに海水を吐き出していた。人が苦しんでいる姿を見るのはそんなに好きじゃない。
私は彼に触れて彼の肺に溜まった水分だけを取り除いた。
貴「物体干渉 "
普段の"空間"や"物体のみ"に干渉する事に対しての代償などは特になく、ほんの数分程度自分の寿命が削れる程度なので割と便利に使える分類だ。それに対して治療など"人の命"に関わる干渉は記憶や私の寿命を大幅に削る。
私が干渉し終わると、彼は元の顔色に戻っていった。それが終わると、元通り私に噛み付いてくる子犬に戻ると思ったのだが。
ﾗｲﾑ「…なんで助けた。お前、殺し合いだって言っただろ。」
彼が見せたのは随分と大人しくなった姿だった。帽子を掴んで下を向いて、何故か悲しそうな音がした。まだまだ青いわね、そう感じるのはまだ成長できる証拠よ。
私はその姿を見てとても微笑ましく思った。
貴「目の前で悲しそうな顔してたら助けたくなるのよね、私もう80を超えたお婆さんだから。それに、最初に貴方にちょっかいをかけたのは私だし、責任ってやつよ。」
ﾗｲﾑ「…は、はちじゅう？どう見ても10代だろ。」
疑問を投げかけてくる彼がまるで犬のようで、すごく愛らしかった。
貴「あら、知らないの？私は歪みの一族、古くは紡ぎ続ける一族と言われたアエラの一族唯一の覚醒者なのよ。」
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作者名：楸 | 作成日時：2022年10月5日 20時
