ロジャー海賊団の音楽家 (ページ18)

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彼女の人生にとって最悪の悲劇
"海賊王"ゴール・D・ロジャーの処刑

『な、なんでロジャーが…。』

新聞を見た時には遅かった。

いや、薄々気づいていた。余命幾許(よめいいくばく)もない彼が、どのように最後を迎えるのかなど長い付き合いだった彼女は頭のどこかでそれを理解していた。それは罪を一緒に背負って歩んでくれる大切な仲間を、"最愛の日々"を失うという事だった。

そして彼女は死を選んだ。

だが、覚醒した"アエラ"に死ぬ事は許されない。

『ロジャー。約束守れなくて、ごめんね。』

そう言って彼女は自分の首を切った。

また生まれ変わった彼女は自分の"存在意義"すら忘れ、ただ悲しみに暮れる日々を過ごした。

けれど、友人に再開した彼女は思い出した。
まだ自分は"夢"すら叶えていない事を。

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今では本当に自分の意思で首を切ったのかすら分からない。それすらも、神様とやらがさだめた運命だったのかなんて今では思う。

貴「彼女は思い出した。彼女の夢であり、ロジャーとの約束でもある"世界一の音楽家"になるという事を。彼女は罪を背負い歩いていく道を選んだ。」

私は話を終えて下を向いて目を開いた。
医務室の小さな窓から夕日が差し込んでいた。

私の視界に映った床は夕焼け色に染まっていた。

貴「これが大勢の人を殺し故郷を滅ぼした彼女の話。」

だから、私は救わなければならない。

二度と同じ歴史を繰り返してはならない。それは世界が始まった時から決まっている事だ。その為にに私たちAERA(ｱｴﾗ)がいる。取り込んだ人々の意思は今も私の奥底で息をしている。

ｼｬﾝｸｽ「その人は後悔しなかったのか。背負っていく事を。」

貴「した事もあったでしょう。でも、夢だから。ロジャーの為にも自分の為にも何があっても叶えてあげたかったのよ。」

ｼｬﾝｸｽ「そうか。」

私はその空気を振り払うように、パンッと手を叩いた。

それにはシャンクスも驚いたようで、少し目を見開いていた。だが、私はこれ以上何もしない。世界の秩序をこれ以上人間に話すわけにはいかない。これ以上話せば私は夢を叶えられなくなる。

貴「外でみんなが宴の準備をしてるみたいよ、行きましょう。」

ｼｬﾝｸｽ「相変わらず耳がいいなぁ、Aさんは。」

貴「当たり前でしょ、私は"音楽家"なんだから。」

私はそう言って笑ってみた。