ロジャー海賊団の音楽家 (ページ1)

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プロローグページ1

世はまさに大海賊時代＿＿＿

なんて言葉とっくに聞き飽きた。

船長の言葉が誰かを傷つける時代を作ってしまった。
ただ、自由を求めていた彼が知ればきっと悲しむ。

私はそんな世界を見届けなければならない。

今でも夢に見るの、彼らと過ごした日々を。

「A、お前は絶対世界一の音楽家になれよ。」

突然そんな事を言い出すロジャーに私は思わず眉間に皺を寄せ答えた。彼が言ったのは、私が初めて彼に会った時に言った言葉だった。

それがあの時の私の"夢"だった。

「当たり前でしょ、てかなんでロジャーが嬉しそうなのよ。」

「俺はお前の歌が好きだからな！」

私にそう言う彼も私を置いていってしまった。

こんなにも永遠が辛いなら貴方達と共に終わりを迎えたかった。苦痛だらけの人生だったけど、彼らがいたから存外楽しかったのだろう。けれど、私は人間であり人間じゃない。

私はそれが何より辛かった。かつて化け物になった私は自分の故郷を滅ぼし、愛する家族も、友人も何もかも失った。

「A、心配すんな。俺たちが一緒に背負ってやる。」

「またそのセリフ。ほんと好きね。」

そういっている私だが、悪い気はしていない。

だって、ロジャーのその言葉に私が救われたのは本当だから。たくさんの人を殺した私の罪を一緒に背負ってくれた。私がずっと生きてこれたのはロジャー達のおかげだった。

酒を片手に大きな声で笑う彼の笑顔は眩しかった。

「A、あの時の"約束"忘れんなよ。」

「ふふっ、忘れないわよ。」

「これは船長命令だからな！」

「分かってる、私は絶対＿＿＿＿＿＿。」

あぁ、あの時私はなんて言ったんだろうか。

夢にばかり見るこの景色を私は思い出せなかった。いつかの思い出せないその"約束"を私は果たそうと夢ながらに思った。