大人になった私には夏油くんを守る義務がある。0 (ページ4)

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76　胸・無知ページ4

私が運んでいた乙骨君を笑顔で奪った五条。

五条「じゃ！あとは僕に任せてよ。」

そう言って乙骨君を楽しそうに連行したのが、30分ほど前の話だ。

私はそこまで乙骨憂太君に興味が無いので今回は傍観を決め込むつもりだ。夏油君が離反してもう半年程前になる。彼の使っていた部屋にはまだ彼のものが残っている。

私はよくその部屋で過ごしていた。
何一つ知らないんだと思い知らされる。

貴「あら、夏油君も男の子ね。エッティな本が…」

甚爾「女が見るもんじゃねーだろ。」

突然現れた甚爾に私は思わず飛び蹴りをした。

貴「心臓飛び出るかと思ったわ」

甚爾「それが飛び蹴りしてきた奴のセリフか。」

貴「本パクったやつに言われなくねーよ。」

私が飛び蹴りしたのと同時に甚爾はサラッと本をパクっていた。

手癖の酷さは未だに治ってないらしい。子持ちの癖になんて野郎だ。しかも恵君と津美紀ちゃんが学校でいなくて暇なのか、私の所に駆けつけてくるのが異常に早い。

そう思ってる私をお構い無しに甚爾は本に目を通していく。

甚爾「アイツこんな女が好きなのか。」

貴「これ私の初めてのバイト代であげたやつ。」

甚爾「あー……」

甚爾は頭に手を当てて少し上を向いてから、また私の方を向いて少し考えた様子を見せた。

いつ見てもいい胸筋だ。一体何人の女を落としてきたのか、伏黒甚爾。怖い男だぜ全く、と私は呑気にそう思っていた。

甚爾「そういう時もあるか。」

貴「うん、甚爾もどう？」

甚爾「タイプじゃねぇ。」

床に胡座をかいていた私を枕替わりに甚爾は楽しげに私の髪を編んでいた。

貴「それ楽しいの？」

甚爾「いい女はどこから見てもいいからな。」

貴「既婚者だろ、やめなさい。」

そう言いながら私は部屋を物色していた。

今頃一年生の教室では美々子や菜々子、真希、乙骨、狗巻、パンダが授業を開始している頃だろうかなんて考えていた。甚爾が少し邪魔だが気にせず私は術式を使っていた。

特に、物をとる時は術式を使うと動かなくて良くて楽だ。

甚爾「さっきから何探してんだ。」

そんなことを考えている私に甚爾は髪を弄りながら聞いてきた。

貴「日記とか、夏油君マメだから。」

甚爾「ふーん、胸貸してくれね？」

貴「貸すほどねーよ言わせんな。」

甚爾はそう言うと当たり前のように私の胸を触っていた。