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神父さんの言葉は、右から左へと流れて往く。
けれど此の人の声はやけに重く思え、私の心にずしりとのしかかる。
そして、中也さんとの結婚が本当の事だと実感される。
「_____誓いますか?」
「誓います」
神父さんと中也さんの声。其れで意識が式に注がれる。
次に誓うか否かを問われるのは、如何考えても私。
其れ迄に心を落ち着かせないと、なんて考える程、鼓動が早く成る。
そうこうしているうちに、
「誓いますか?」
そう、問われた。
誓います、唯其の一言を云うだけ。簡単だ。誓う以外有り得ない。
なのに、私の喉から声は出ない。
「A?如何した?」
心配そうな声に、私は下を向くしかない。
私が此処で答えなければ、中也さんを傷付ける。判ってる、判ってるんだ。でも、声が出ない。否、出そうとしていないのか?
私には、未だ中也さんと契りを交わす程の決心がついていなかったのか?
そんな筈無い。昔から、大好きな人と結婚するのを夢見てた。そして今、其れは叶おうとしている。
「A、大丈夫だから」
「!」
中也さんの「大丈夫」は、本当に大丈夫だと思わせてくれる。
其の証拠に、私は落ち着きを取り戻してきた。
大丈夫、大丈夫。そう思い乍ら口を開く。
「誓います」
この言葉を、私は満面の笑みで云えただろうか。後でお父さんにビデオを見せて貰おう。
なんて、先程とは程遠い位、私は冷静だ。
「ご免ね中也さん。私、大丈夫だよ。大好きだよ」
「……そうか。なら良かった」
薄い涙の膜が、彼の瞳を覆う。其の横顔はやっぱり綺麗で、惚れ直してしまう。
「其れでは、誓いのキスを___」
中也さんは私のベールを、震える手でゆっくり上げる。ふふっ、と嗤うと、嗤うなっ、と怒られた。
「…A、愛してる」
「私も。私も愛してるよ、中也さん」
何度も何度も交わしてきた言葉、接吻。でも、今日、この時交わした言葉も、接吻も、何よりも忘れられないものと成った。
そして、この日は私が一番倖せだったとは胸張って云える日に成った。
.
凛様から、「結婚式の様子」でした!
本当は披露宴等もお書こう思ったのですが、長でなりそうなのでやめました
リクエスト、有難う御座いました!!┏○┓
何か御座いましたら、コメントまで↓↓↓
。。番外編。。 mumu様リクエスト→←。。番外編。。 凛様リクエスト
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杏 - ずっと前から拝見させていただいてます。これ以上の裏切り小説はないと思います。本当に、こんなに素晴らしい作品を作ってくださりありがとうございました。 (2018年10月2日 23時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ゆうさん» リクエストを書くのが遅くてすみません。他の方に頂いたリクエストも執筆中でして、決してそういう訳ではないのでご安心下さい。出来るだけ早く書けるように努力します (2018年9月28日 2時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 前にゆったリクエスト無理でしたら書かなくていいですよ。 (2018年9月5日 22時) (レス) id: 07f01030e1 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - minoriz1222さん» コメントありがとうございます!!こんな長い話を読んで頂けて、嬉しい限りです。未だスランプ状態で、読者の皆様には大変申し訳ないです……。ですが皆様を待たせるわけにはいきませんので、これからも頑張ります。ありがとうございます! (2018年6月23日 4時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
minoriz1222(プロフ) - この話、1から全て見させて頂きました!少し悲しくなり、涙がポタリと落ちたりもしてしまいましたし、つい、楽しくてクスリと笑ってしまうことも度々ありました。この作品は面白くて大好きです。スランプ大丈夫ですか?更新は無理をせず、頑張って下さい応援しています (2018年5月19日 23時) (レス) id: 5a14873d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2017年7月27日 13時