【暗殺教室×文豪ストレイドッグス】On the day when it rains 。Anotherstory。 【裏切り】

。。９。 ページ11

悩んだ末、私は云う事にした。
もう皆大人で、子供の時には出来なかった話も出来ると思うから。
若しかしたら、やり直せるかもしれないから。









「確かに、赦せない」









そう答えれば、皆は顔を歪ませる。









「でも、憎めないんだよ。あんな事が有って勿論辛かったし、哀しかった。絶対に赦さない、私を裏切った事後悔させてやるって意気込んでた」









憎悪を宿していた。宿していた筈なのに、膨らみ過ぎる事は無かった。




憎い、憎いと思う反面、皆との思い出が私を踏み止まらせた。









「愉しかった事だって有った。其れは少なからず嘘じゃないし、皆の事も好きだった。ひとりだった私には、E組が唯一の居場所だったから。それを与えてくれたのは皆だったから。だから、憎むに憎めない」









あの時の私は、皆が居たから一人では無かった。




短い時間だったけれども、倖せを感じていた。









「仲間が居て、恋人が居て、本当に倖せだった。其の時間は崩れちゃったけど、今が倖せだから善い」









「中也も、子供たちも居るしね」と皆に嗤い云えば、泣いているではないか。
流石の私も驚き慌てた。









「な、何泣いてっ」


「ごめん、ごめんなっ」


「Aちゃあぁぁん」


「水嶋あああぁぁ」


「否、私中原」









二十を越えた大人が泣いているという情景は、何共カオスである。









「え、ウザいから泣き止んで」


「Aちゃん辛辣だけど好きいいぃ」


「カエデ、鼻水付くから抱き着かないで」









鼻水を垂らすカエデにティッシュを押し付け、更には離す。




「いい歳にも成って……」と思い、笑みが零れる。矢張り、皆変わっていない。
其れが迚も嬉しく成る。









「赦せないって事は変わらない。赦せないし、全部を水に流す事は出来ないけど、亦一からやり直す事はしようと思うよ」









喜んでいる様子の皆に、「唯一つだけ云っとくけど」と付け足す。



実はこれが一番大事なのかもしれない。









「やり直そうとは思うけど、余り関わらないで」


「どうしてっ」


「知れた事。……私がポートマフィアで、犯罪者だからだよ」









一瞬にして、其の場が凍り、張り詰めた。

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