兄妹度 115 ページ21
鉄朗と話していると、泉ちゃんから逃れたであろう遊木先輩が私に話しかけてきた。
鉄朗は空気を読んで何処かに行った。
「Aちゃん、僕と少しだけ、……話してくれる？」
「……いいですよ」
いい機会だし、もう終わらせよう。遊木先輩に醜い嫉妬をするのは。
食堂から離れた私達は、体育館の近くにある自動販売機横のベンチに腰掛けた。
「これ」、と遊木先輩が差し出してくれたのは、小さい頃私が好きだったジュース。どうやら、買ってくれたようだ。
「もう、好きじゃないかもしれないけど……」
「いえ、今でも好きです」
よかった、そう微笑む遊木先輩は、以前のような人形らしさは無かった。その事に、罪悪感を憶える。
「話って……？」
「僕、さ、Aちゃんと仲直りしたいと思って。合宿や合同ライブっていういい機会だし」
「でもね、……」と付け足す遊木先輩は悲しげに私を見る。
「僕、Aちゃんに何で嫌われてるか分からないんだよね。僕が気付かないうちにAちゃんを傷付けてたなら謝るよ。……ごめんね」
「……遊木先輩は何も悪くないんです」
私がただ、一方的に嫉妬して、一方的に嫌っていただけなのだから。
「私、泉ちゃんが好きなんです」
「うん、知ってる」
「でも、泉ちゃんは遊木先輩のことが好きで。……私よりもずっとずっと、遊木先輩のことを好いていたから。だから、嫉妬したんです」
「え？」
「しょうもないですよね、そんな事で遊木先輩を傷付けちゃうなんて。本当に悪かったと思ってます。でも、泉ちゃんをとられたくなかったっ……私にはちゃんしか居なかったから」
だから、泉ちゃんに好かれてるのに迷惑がる遊木先輩が許せなくて、嫉妬して、嫌って、傷付けたんです。本当にごめんなさい。
それら全部を伝えれば、遊木先輩は「いいよ」と許してくれた。
「僕もAちゃんを傷付けてた事に変わりないしさ」
「……ごめんなさい」
「謝らないで。僕、気にしてないから。……だから、さ、……仲直り、しよっか？」
小さい頃、喧嘩しなかったわけじゃない。喧嘩して仲直りする度に、お互い抱き締め合った。
……懐かしい。まだ、覚えていたなんて。
私はぎこちないながらも、広げられた遊木先輩＿＿＿＿否、真兄の腕の中に入った。
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バンビ(プロフ) - タナトフィリアさん» コメントありがとうございます!!そんなに言って下さり、嬉しい限りです 最近はテストが近くて更新出来ず、申し訳ないです…… テストが終わり次第、更新するつもりなので、どうぞ宜しくお願いします┏○┓ (2017年11月28日 21時) (
レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
タナトフィリア - とっても面白かったです！あんスタもHQも好きだけど、組み合わせるという考えは思い付かなかったので、「凄い！」って思いました！僕はこの作品に惚れました！更新待ってます！大好きです！ (2017年11月28日 2時) (レス) id: 3f49c62afd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ | 作成日時：2017年10月13日 23時
