×恐怖→○恋愛対象となりました 【時透無一郎】

119 今できることを ページ24

Aは両手で顔を覆い、なんとか涙を止めようとする。

『す、すみま、せん』

煉獄「気にするな、泣きたい時は思い切り泣くといい！我慢は身体によくないぞ」

宇髄「お前も結構天然タラシだよなぁ煉獄。普通の女なら地味にコロッといくぞ？」

煉獄「む？俺は思ったことを言っただけだぞ！他意はない」

宇髄「そういうとこだっつーの」

二人の少しズレたやりとりのお陰で、Aは落ち着きを取り戻す。

『ありがとうございます煉獄様っ、私にとって一番嬉しい褒め言葉です！』

煉獄「そうか！それは良かった」

『確かに冷たく当たる方もいましたが…私の心配をしてくれる人も少数はいましたっ。隠の人はほとんどそうでしたし…ただ、どちらにも言われました

剣士は辞めたほうがいいんじゃないか、と』

少数の隊士と隠は、Aの身を案じてそう勧めてきた。もちろんAも、心配して言ってくれていたのは理解していたが

『私には、その言葉が凄く辛かったです…
私は剣士として鬼殺隊にいたかった。家族の仇をとりたかった。だから絶対に剣士でいたかったんです』

煉獄「成程。君はその信念を貫き通したんだな。素晴らしいことだ！」

『いえ、私一人じゃ無理でした。…彼と出会っていなければ、きっと心が折れていました』

煉獄「例の初恋の隊士のことか！話で聞いただけだが、とても心の熱い隊士だったのだろうな」

『はい。だからこそ、殺された時…あんな考えをしてしまいました』

煉獄「四宮にとって、その隊士は何者にも変えがたい存在だったのだろう。優先し、護りたいと思うのも、決して悪いことじゃない！
俺自身も、救えなかった命はたくさんある」

『！』

柱は多忙、つまり数多くの任務をこなしている。いくつもの選択を迫られることは常にある。

煉獄「だが、それでも歯をくいしばって前を向いていく。今の自分ができる精一杯をやる。過去の事を嘆いても何も変わらないからな」

『(…本当にその通りだ)』

煉獄「四宮も今、過去を乗り越えようと懸命に修行をしているのだ！だから自分のことをあまり卑下するな」

『はい！…ん？(修行の理由、無一郎さんとの約束のことしか伝えてないんじゃ…)』

宇髄「！(ヤベｯ)」

宇髄はAの反応を見て焦る。
Aの中で、時透のことが好きだと知るのは宇髄と甘露寺のみ。
もし悲鳴嶼に、恋心を抱きトラウマの克服をしていると聞いたと知れば
必然的に時透も聞いたと察してしまう。

宇髄「(ド派手に面倒臭ぇ！)」

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