51 意外な申し出 ページ4
ゴポゴポッ ゴポゴポッ
『わっ!いけない!』
Aは慌てて鍋を火元から離す。中身の無事を確認しホッとする。
時透「それ…おでん?」
『はい。そうです』
具材一つ一つを見て、味が染みているかを確認していく。
『うん、良し!』
時透「(じーーー)」
『………えっと、味見します?』
時透「うん」
何が食べたいか聞き、それらを小皿に移す。
『どうぞ』
時透「…………」
『……あの、無一郎さん?』
時透「食べさせて」
『は?』
時透「手、塞がってるから」
時透はAの腰に回している両手に軽く力を入れる。Aは時透の言葉に頬が引きつる。
『(自分で食べるよう言っても絶対断るよね…かといって無視すれば後が怖いし………っっ)』
Aは大根を一口大に切り、息を吹きかけある程度冷まし、時透の口に持っていく。
『どっ、どうぞ…』
時透「…(パクッ モグモグ) うん、おいしい」
『っそうですか、良かった』
時透「うん。じゃあ他のもお願い」
『は…はい(汗)』
そうしてAは時透に、残りのおでんを同じやり方で食べさせた。
『(なんかどっと疲れた(汗))』
時透「Aはどれか食べないの?」
『あ、私は大丈夫です』
時透「一個くらい食べたら?大根美味しかったよ」
『じ、じゃあそれだけ』
Aは再び菜箸を取ろうとしたが、
ヒョイ
『え?』
時透がAから離れて菜箸で鍋から大根を取る。そして箸で先程のAと同じ様にする。
時透「はい、あーん」
『(この人これ狙ってたな……)』
何が手塞がってるですか!?、と心の中で思いながらAは時透が差し出す大根を食べる。
『…うん、ちゃんと中まで染みてる』
時透「Aってよく料理するの?」
『そうですね、料理は好きです』
時透「…ふろふき大根作れる?」
『?、はい』
時透「(じーーーーー)」
『……お好きなんですか?』
Aの問いに時透は深く頷く。時透の何か期待した目を見て、Aは珍しく時透の考えてることを理解した……が、
『申し訳ありません無一郎さん。大根は、その……おでんの材料で全て使ってしまったので……』
時透「…………」
『(きっ気まずい(汗))』
また大根買ったら作りますとAは言おうとしたが、その前に時透が口を開いた。
時透「じゃあウチ来て」
『………は?』
時透「明日、僕の屋敷で作って」
『………!?!?』
まさかの申し出にAは硬直した。
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雪花菜 - 続編お祝いコメントありがとうございます😊三作目も楽しんで読んでもらえるように頑張りますね!! (11月3日 7時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 続編決定、おめでとうございます🎉続きがすごく楽しみです✨これからも頑張ってください😊 (11月2日 22時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
月坂柚花(プロフ) - 続編おめでとうございます! 続き、楽しみにしていますね! (11月2日 20時) (レス) @page50 id: d344506545 (このIDを非表示/違反報告)
雪花菜 - まちゃむんさん» こっちでもコメントありがとうございます!😆本当に嬉しいです! (11月1日 22時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
雪花菜 - いつも更新を楽しみにして下さりありがとうございます❗次の更新ですが、"お知らせ"になりますので本編の続きは少し待って下さい😣すみませんがよろしくお願いします🙏 (11月1日 22時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪花菜 | 作成日時:2023年8月8日 20時