72 彼女の初恋 ページ25
宇髄「…はぁ?」
宇髄が怒気を含んだ低い声で呟く。それにAは苦笑いを浮かべる。
『仕方なかったんです。まだ10の子供で階級も癸…しかも女の隊士の言葉を信じろっていう方が無理があります』
宇髄は不本意だが納得する。確かに階級も理由にあるが、鬼殺隊士の大半は男である。女で子供の意見を鵜呑みにするほうが少ない。
宇髄「(今でこそ時透みてぇな若い奴、胡蝶や甘露寺なんかが柱やってるから周りの目も変わってるからな)」
『頚より攻撃の対処をすることに、結構影で言われてました…人任せだって』
宇髄「だったらテメエらがやってみやがれっつーの」
『はは…それで、ある日任務で十二鬼月と遭遇したんです。その時は私と男性3人。私は攻撃を防ぐほうに回り、その人達に頚を斬ってもらうようにしました。でも、その鬼の頚は硬くて誰も斬れなくて…だから……
その人達は、私が術の対処してる間に逃げ出しました』
宇髄「はあ"ぁ"!?」
先程よりも荒々しい声を出す宇髄。
宇髄「ド派手に隊律違反じゃねぇか!!」
『…私も正直、あの時は絶望したし死ぬことも覚悟しました。でもその時、救援に来てくれた隊士がいたんです』
宇髄「…もしかしてソイツが」
『そうです。私の恩人で、初恋の人です』
宇髄「絶体絶命のトコ助けてもらって惚れちまったってわけか」
『それだけが理由じゃないですっ。
その人に敵の攻撃内容など教えたんですけど…もう諦めてました。この人も信じてくれないって…
でもその人は、私の言葉を躊躇いなく信じてくれました。
その後、私に言ってくれたんです。
私のおかげで頚を斬れた…よく一人で堪えたって…
あの言葉に私はとても救われました』
誰にも言われたことがない言葉に、Aは涙が止まらなかった。
その後は、Aは隠に連れられ初めて蝶屋敷を訪れた。その時に胡蝶と出会った。そして
『彼がまた、私のところに来たんです…私を置いて逃げた隊士を連れて』
処罰のためと、Aに謝罪をさせるために捕らえたらしい。だが隊士の1人が言い放った。
"そんな鬼の頚も満足に斬れない奴より、俺たちが生きてた方が良いに決まってるだろ!"
宇髄「マジ糞だなソイツら」
『ただ…その場にはしのぶさんもいらっしゃったので…』
宇髄「…御愁傷様だな」
『(汗)』
頚を斬れない、それは胡蝶にも当てはまる。
あの時の胡蝶を思い出すと、未だに震えるA。
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雪花菜 - 続編お祝いコメントありがとうございます😊三作目も楽しんで読んでもらえるように頑張りますね!! (11月3日 7時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - 続編決定、おめでとうございます🎉続きがすごく楽しみです✨これからも頑張ってください😊 (11月2日 22時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
月坂柚花(プロフ) - 続編おめでとうございます! 続き、楽しみにしていますね! (11月2日 20時) (レス) @page50 id: d344506545 (このIDを非表示/違反報告)
雪花菜 - まちゃむんさん» こっちでもコメントありがとうございます!😆本当に嬉しいです! (11月1日 22時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
雪花菜 - いつも更新を楽しみにして下さりありがとうございます❗次の更新ですが、"お知らせ"になりますので本編の続きは少し待って下さい😣すみませんがよろしくお願いします🙏 (11月1日 22時) (レス) id: 2d2d667fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪花菜 | 作成日時:2023年8月8日 20時